■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年3月31日発行 第123号 □■────────────────────────────────── ■ 孫崎享著「日米同盟の正体」(講談社現代新書)を書評する 私はあらゆる新聞や雑誌の書評欄を目を皿のようにして見ている。いつ、 どこで、誰が、この「日米同盟の正体」という本の書評を書くのか、と。 書評は出るのか。そしてその書評は果たしてどのようなものなのだろう。 私は3月23日のメルマガ第113号で、この著書について書いた。元外務省 幹部であった孫崎氏が、いくら現役を引退するからといって、外務省のすべて である「日米同盟」の欺瞞を、正面から指摘しているのだ。これは驚愕の書だ。 だからこそ政府・外務省はこの著著を徹底的に無視するだろう。政府・外務省 の側に立つメディアは、この著書が脚光をあびるような真似はしないだろう。 その事を一番よく知っているのは孫崎氏自身である。だから彼はその 「おわりに」で、次のように書いている。 「米国戦略との一体化を図る日本の政策を批判する筆者の姿勢を考えると、 出版を受け入れてくれるメディアは見つからないだろう、と半ばあきらめて いた・・・本書を出版するという講談社の決断の過程で、(担当の編集者で ある)田中(浩史)氏のご推薦がなければこの本の出版は実現しなかった」 たとえこの本に関する書評が出なくとも、私はここで再度書評をしておく。 この本は、日米関係を少しでもまじめに考えようとする日本国民の必読の書 である。 特に私はこの書を若い人に読んでもらいたい。外交というものを真剣に考える 未来の世代に是非読んで欲しい。 そこに書かれている以下の指摘を知るだけでもこの書の価値が分かる。しかも、 これらの指摘は、著者自らがその中で強調しているように、すべて資料や関係者 の発言に基づいて書かれた事実なのである。 好きとか嫌いとかの問題ではない。論争する問題ではない。事実なのである。 その事実から目をそらす事無く、それでは日本はどうすべきか、と孫崎氏は国民 に問いかけているのだ。 外交官人生の最後の段階で、育ててもらった外務省から距離を置く決意した 孫崎氏の書を手にする読者もまた、襟を正してこの書を読むべきである。 1.日米安保条約は、2005年10月29日の日米外務・国防大臣間の合意 (日米同盟:未来のための変革と再編)によってとって代わられた。しかし 政府・外務省は、国民には、何も変わらない、といい続けてきた。 2.日米同盟関係というが、実態は、守屋元防衛次官が認めているように、 米国が一方的に決めたものを日本が従うだけの関係である。そもそも自主、 自立した安全保障政策を持たない日本なのだから、「共通の戦略」などあろう はずはない。米国の戦略に従うほかはない。 3.日本に国際貢献を求める米国の狙いは、政治的に受け入れやすいものから はじめて、最後は軍事協力に行かざるをえない状況にもっていくことである。 PKOや人道支援、文民協力を言い出し始めたのはその戦略のあらわれだ。 4.日本人は安全保障問題を軍事的、戦略的に考える事ができないので、経済 を絡ませて説得すればいい、と米国は考えている。石油に依存する日本は中東 問題に貢献しなければならない、などというのがその好例である。 5.危険の分担は求める。しかし自立した抑止力は決して持たせない。これが 米国の一貫した対日安全保障政策である。 6.米国の重要な外交は謀略でつくりだされてきた。南北戦争も真珠湾攻撃も 9・11も、それをきっかけに国民を戦争に駆り立てる謀略だった。米国は 北方領土問題でみずからの立場をわざと曖昧にし、日本とロシアを永久に 争わせる、それが米国の戦略だった。 7.日米同盟を唱える者たちは、米国の戦略が正しいと思ってそう言っている のではない。損得勘定で得だと考えたからだ。「議論で勝って(正しい政策を 主張して)、人事で飛ばされる」、それが組織で生き残る知恵だ。なんと 寂しいセリフだろう。 8.いまの米国の安全保障政策の要は中東政策である。その米国と軍事的一体化 を進める日米同盟強化が、国益なのか。日本国民のためなのか。 9.日本ではいま、ミサイル防衛が国防の柱になりつつある。しかしそれは有効 ではない。ミサイルが真に怖いのは核弾頭を搭載した場合である。 そしてそのミサイル攻撃に最も脆弱なのは日本なのだ。日本はミサイル戦争 をしてはならない国である。 ──────────────────────────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年3月31日発行 第123号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信して いただければ、著者まで届きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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