… … …(記事全文3,135文字)中国が真の先進国になるうえで最大の障害は、技術力の不足ではない。
国家を強くするために築いてきた政治経済の仕組みを、国民一人ひとりが豊かに暮らすための仕組みへと転換しきれていないことだ。巨大な工場を建て、高速鉄道を延ばし、世界市場に製品を送り出す力は手に入れた。安い労働力と巨額の投資による成長は、中国を極貧から引き上げた。その成功は極めて大きかった。だが、かつて成功した方法をそのまま続けても、次の段階である「先進国」へ進めない。
道路も住宅も工場も、不足している間は建設するだけで大きな経済効果が生まれた。しかし、すでに供給が十分な領域へ投資を増やせば、残るのは使われない設備と莫大な債務である。IMF(国際通貨基金)も、中国の国家主導・債務依存の投資や過度な産業政策が、生産性の低下と過剰供給につながっていると指摘している。
そして、ここに政治的な難しさが存在する。
国家主導の投資では、政府が資金の行き先を決め、育てる産業を選び、成果を国家の実績として誇示できる。一方、家計への分配を厚くし、民間企業の自由な判断を尊重する改革は、資源配分の決定権を国家から社会へ広く移すことを意味する。先進国化に必要な改革が、統制を重んじる党専制の論理と決定的に衝突するのだ。先進国になるには、なによりも「自由」であることが絶対条件となる。
政府が投資先を計画・決定する構造では、失敗を恐れる官僚機構の習性上、すでに市場が存在する既存分野や他国の成功事例や投資事例をなぞる「後追い」の投資に終始せざるを得ない。国家主導の産業政策が威力を発揮するのは、追いつき追い越せのキャッチアップ型成長期までである。
誰も答えを知らない未知の領域で新たな価値を生み出すのは、政府の計画ではなく、民間人の情熱と自由な試行錯誤にほかならない。
中国が先進国になれない理由は、自由と、あともう一つ!
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