… … …(記事全文4,822文字)ラテンアメリカの政治地図が、今まさに地殻変動を起こしている。
かつて「ピンク・タイド」と呼ばれ、資源高を背景に南米大陸を席巻した左派政権の潮流は劇的な後退を見せ、それに取って代わる形で強烈な反左翼・反グローバリズムを掲げる保守・右派勢力が台頭している。ペルーにおいてケイコ・フジモリ大統領が誕生し、チリではホセ・アントニオ・カスト大統領が政権を握った。今回、国連総会などの場でも、両首脳から発せられた言葉は極めて明確だった。それは、かつての左派政権が推進した過度な分配政策やグローバル主義的な規範に対する決別であり、国家の主権、伝統的価値観を訴える固い決意に満ちていた。
この変化はペルーやチリにとどまらない。
アルゼンチンのハビエル・ミレイ政権の誕生を皮切りに、コロンビアでも保守勢力が巻き返しを図るなど、南米全域で左派の不振と右派の連鎖反応が起きている。
なぜ、これほどまでに南米の政治振り子は急速に右へと振れたのだろうか。まず、その根底にあるのは、市民の切実な疲弊感である。左派政権下で高まり続けた凶悪犯罪と不法移民の問題、インフレによる生活水準の低下、そして政府の肥大化に伴う汚職構造に対し、国民は猛烈なノーを突きつけた。この南米の右傾化は、アメリカの外交戦略とも強烈にシンクロしている。
第二次トランプ政権のもと、米国は中南米における「反共・反グローバリズム」の足並みを揃えるパートナーを強く求めてきた。中国の影響力が深まる南米において、資源開発や安全保障の面で米国に同調する保守政権の誕生は、米国の地政学的利害と完全に一致する。さらに決定的な影響を与えているのが、米国によるUSAID(米国際開発局)などの対外支援プログラムの停止や見直しである。これまで民主化支援やLGBTQ+の権利推進、気候変動対策といった名目で中南米に投じられていた援助金は、現地の左派政権やリベラル系NGOの活動資金や理念的バックボーンとなっていた。
しかし、米国の保守化に伴いこれら支援の蛇口が締められたことで、リベラル派の政治基盤は弱体化を余儀なくされたのだ。資金面でも規範面でも「米国の後押し」を失った左派勢力は求心力を失い、対照的に自国第一主義や治安改善を掲げる右派勢力が勢いを増す構造が出来上がった。南米が今示しているのは、単なる一時的な政権交代のサイクルではない。
国家の主権を取り戻し、実利的な経済成長と厳格な治安秩序を求める、市民の現実主義への回帰である。グローバリズムの理想主義が失速し、米国との連携を軸にした強い国家の再構築を目指す動きは、今後の南米情勢を方向付ける決定的な潮流となっている。
これはUSAID閉鎖の影響が大きい。
下記にてその背景に迫る!
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