… … …(記事全文3,901文字)2026年3月に中国の全国人民代表大会で可決され、同年7月1日に施行された「中華人民共和国民族団結進歩促進法」(日本での通称・民族団結進歩促進法)。一見すると「民族の団結と融和」を掲げた平和的な法律に見えるこの新法だが、その本質は極めて危険性の高い「同化と統制の悪法」であるばかりではなく、在留日本人や日系企業をも脅かす巨大な地雷である。今回はこの法律の中身を紐解きながら、激変する中国リスクと、それに対してあまりに危機感の薄い日本政府の現状について、改めて警鐘を鳴らしていきたい。
この法律は、習近平指導部が近年進めてきた「中華民族共同体意識の強化」という政治方針を法典化したものだった。
具体的に何を定めているのか?
まず、国家共通語(標準中国語/普通話)の全面普及を義務付け、学校教育で標準中国語の使用と統一教材を徹底させた。また、少数民族の文字の併記は認められたものの、中国語を「目立たせる」よう規定している。
そして、家庭・社会への「共同体意識」の強制も行われ、学校だけでなく企業研修、地域コミュニティ、家庭内教育にまで「中華民族は一つの家族」という理念を浸透させることになった。
さらにネット空間や宗教活動の規制も強化され、インターネット上での「民族の団結を損なう情報」への監視を義務付け、事業者に対しても削除や当局への報告を課している。しかし、この法律で特に重要なのは域外適用の明記である。
第63条などで中国国外の組織や個人が「民族団結を破壊する行為」や「人権などを口実にした誹謗中傷」を行った場合、法的責任を追及できると定めたことだ。
なぜなら、海外にいる外国人も処罰対象となっているからだ。
日本を含む海外の学者、ジャーナリスト、人権活動家が新疆やチベットの人権状況を批判したり、台湾の主権を支持する発言をしたりした場合、中国当局から「民族団結を破壊した」として一方的に訴追される恐れが生じることになった。これは中国による国際的な越境弾圧を合法化するもので、言論の自由に対する世界規模の萎縮効果を狙ったものだった。
つまり、SNSで中国批判をしたことがある人は、日本人であっても、中国には行かない方が良いことになる。この法律の本当の恐怖は、ここから先だ。
日系企業と在中邦人に迫る、具体的な「罠」を解説する。
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