… … …(記事全文3,386文字)NATOサミットの共同声明も、まだ公開されていないので、たまには歴史モノを。
平安時代、女性の手によって『源氏物語』や『枕草子』が生まれたことは、世界文学史上でも奇跡的な出来事だった。10世紀末から11世紀初頭にかけて、高度な心理描写を持つ長編リアル小説や随筆が日本で開花していた一方で、当時のヨーロッパの文化や学問は「キリスト教の教会・修道院」に完全独占されていた。書き言葉はラテン語のみで、識字層はごく一部の聖職者に限られていたのである。世俗の文学に目を向けても、力自慢の騎士の戦いを描いた『ロランの歌』のような武勲詩(口承文学)がようやく出始めた段階であり、内面描写や社会風刺を持つ近代的な「小説」という概念は存在しなかった。
ましてや、女性が言語・文学の主役になるなど、当時のヨーロッパのキリスト教社会・家父長制では天地がひっくり返っても不可能なことだった。
では、なぜ日本だけがこれほど洗練された心理文学を生み出し、清少納言や紫式部といった女性作家が存在しえたのか?
その歴史的背景を解説したい。
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