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高安カミユ(保守系コラムニスト)

高安カミユ

AI時代に本当に価値を持つのは「まだ誰も気づいていない視点」を発見できる人

トーマス・ズードホフは、ドイツ生まれの神経科学者。スタンフォード大学教授、ハワード・ヒューズ医学研究所研究員を務め、2013年にシナプス伝達の分子機構の解明によりノーベル生理学・医学賞を受賞した。音楽家を志し、医師から科学者へ転身した異色の経歴を持つ研究者として、脳の情報伝達の謎に挑み続けている。
今回、彼の対談から得た知見をベースに、AIの課題について論じたい。
なお、彼の対談の内、AIに関連する事だけの全訳を、下記に掲載した。

https://www.youtube.com/watch?v=wGr7Lvii2qc


【対談のAI部分の全訳】

▶記者
今日の生物学とAIの分野において、商業的に最も優れた成果を上げているのはどの企業だと思いますか?

▶トーマス・ズードホフ
それは非常に難しい質問ですね。
なぜなら、どの企業もAIに取り組んでおり、どの企業も、私が言うところの「AIウォッシング」を行っているからです。
どの企業が他よりも多く、優れた成果を上げているかについては、私には見当がつきません。
私が話をしているどの企業もAIの活用に向けて多額の投資を行っていることは確かです。
しかし、これを賢明に行うことは、一見したよりもはるかに難しいとも感じています。
多くの企業は、実際に具体的な進歩をもたらすための明確で具体的な活用方法を持っているというよりも、むしろ投資家に対して「AIを活用している」と伝える必要性に駆られて、AIを利用しているように思えます。

▶記者
では、同じくノーベル賞受賞者であるDeepMindのデミス氏や、彼らがAlphaFoldで取り組んでいることについてはどうでしょうか?それについてどうお考えですか?

▶トーマス・ズードホフ
素晴らしいと思います。これは非常に具体的な目標であり、生物学に多大な影響を与えているという点で、素晴らしい例です。私たちは皆、絶えずそれを活用しています。これは大きな進歩であり、AIを生産的に活用して洞察や知識を得る方法の、最良の事例の一つだと思います。

▶記者
AIと生物学の分野において、ここでの「ムーンショット(非常に野心的で大胆な目標)」とは何であるべきでしょうか?

▶トーマス・ズードホフ
私が見る限り、AIの問題の一つは、その手法とでも呼ぶべきものの本質的なアプローチ自体に問題があるのではなく、データが原因でその応用に問題が生じていることです。
科学分野ではデータは豊富ですが、通常は標準化されていません。
統一された表現形式がないのです。
例えば、何千もの科学雑誌があり、そこでは質が千差万別の論文が掲載されていますが、その多くはあまり質の高いものではありません。
現在のようにAIを用いてこれらの論文を分析し、すべて公開されているこれらの論文から知識を抽出しようとすると、結局はゴミのような結果になってしまう。
なぜなら、論文のほとんどはそれほど質が高くないからだ。


したがって、私にとって科学分野におけるAIの「ムーンショット」とは、単にデータを活用する能力だけでなく、データの質に関する判断を抽出する手段を持つことだと思います。これは一部のアプリケーションにとっては簡単に聞こえるかもしれませんが、例えば、トランスクリプトミクス(発現している遺伝子の研究)を見ると、これらの研究における特定のパラメータを使ってデータの質を評価し、それによって何を信頼すべきか、あるいは信頼すべきでないかを判断することができます。

しかし、ほとんどの科学データに関しては、それはそれほど簡単ではなく、不可能です。ですから、少なくとも科学の分野では、おそらくあらゆる分野においても、AIを実用的に活用する上での最大の障害の一つは、つまり、入力データの品質がまちまちであるという点であり、少なくとも現時点では、その品質を評価し、AIを使ってデータから結論を導き出す際にそれを考慮に入れることは不可能です。




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