… … …(記事全文7,468文字)大阪市廃止・特別区設置構想(いわゆる大阪都構想)の賛否を問う住民投票について、大阪府の吉村洋文知事は1日、これまで大阪市民を対象にしていたものを大阪府全域に拡大することが可能だと言い出した。その根拠として、自民党と日本維新の会が協議している副首都法案の中で、その趣旨が含まれた大都市法の改正まで視野に入れているからだとした。
この報道があってからというもの、大阪府域ではもちろん、他都市や国会でも話題を呼んだ。私も3日にメルマガ臨時号を配信し、住民投票の対象拡大は違憲の疑いが濃いと指摘した。それだけではない。大阪維新の会の大阪市議団は2日に緊急総会を開き、中には吉村知事に対して反発する意見も飛び出したようである。
府下の市長からも意見が出された。豊中市の長内しげき市長はX(旧ツイッター)で、「大阪市のことは大阪市民が、豊中市のことは豊中市民が決める。それが住民自治です。この権利を守ります。」と投稿し、吉村を暗に批判した。
https://x.com/osanaishigeki/status/2039657846338404408
長内市長の投稿は波紋を広げたようで、とくに興味深かったのは「都構想は大阪市だけではなく大阪府全域に影響が及ぶ。住民投票を府民にまで拡大するのは当然」という反論が多かったことだ。この手の意見は、中でも維新関係者や支持者に目立った。一見すると一理あるように思えるが、それは勘違いでしかない。メルマガ臨時号の繰り返しになるが、大切なことなのであらためて指摘しておきたい。
結論から言えば、「大阪市を廃止するかどうか」を大阪府全域の住民が決める仕組みは、憲法第92条の「地方自治の本旨」と整合しない。理由はシンプルで、地方自治は「自分の自治体のことは自分たちで決める」という住民自治を大原則にしているからだ。住民投票の対象を「大阪府全域」に拡大するという発想は、法理学的には「住民自治の侵害」という重大な瑕疵(かし)を抱えている。
いわゆる都構想の根拠法である大都市法も、地方自治の大原則である「大阪市の問題は大阪市民が決める」ことを前提に制度設計している。きわめて当然のことである。
一方、「府全域に影響が及ぶから府民も投票すべき」という主張はどうか。こちらはもっともらしく聞こえるが、制度論としてはあまりにもズサンである。そもそも「影響が及ぶ」ことと「決定権を持つ」ことは別問題だからだ。

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