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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #183:東京大学の入試問題から世界を見る⑤ 地下鉄

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第183号(2024年11月30日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

~東京大学の入試問題から世界を見る⑤ 地下鉄~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で183回目のメルマガ配信となります。


都市を効率的に動かす交通インフラを整えることは、現代社会において欠かせない課題です。そんな中、プレイヤーが架空の都市を一から作り上げるゲーム『Cities:Skylines』は、都市開発の複雑さと交通の重要性を直感的に学べます。このゲームでは、道路を敷き、住宅や商業地を整備し、交通渋滞に頭を悩ませながら街を発展させていくという、まるで現実世界の縮図のような体験ができます。


しかし、ゲームを進めるにつれて、多くのプレイヤーが直面するのが「交通渋滞」という課題です。地上に限られたスペースしかない中で、住民の移動をいかに効率化するかは、都市の成長にとって死活問題となります。この解決策として浮上するのが、地下鉄の導入です。ゲーム内でも、地下鉄は地上の交通を補完する強力な手段として登場します。高額な建設費用と維持費を覚悟する必要はありますが、それを上回る渋滞緩和の効果を発揮し、都市の快適性を大幅に向上させることができるのです。


このシミュレーションが示唆するのは、都市のインフラ整備が単に「便利さ」を追求するだけでなく、持続可能な発展を実現するための鍵であるという点です。現実の歴史においても、地下鉄の導入は、都市化が進む中で交通渋滞や環境問題に直面した多くの都市が選択してきた解決策でした。そして、その背後には、技術革新や市民の需要、そして社会資本の重要性が複雑に絡み合っています。


『Cities:Skylines』を通じて、ゲームの中の都市でさえも効率的な移動手段の整備が不可欠であることを実感します。その経験は、私たちの住む現実の都市でも変わらないのではないでしょうか。地下鉄という選択肢が生まれた背景には、地上の限界を克服し、都市の持続的な発展を支えるという人類の創意工夫があります。


それでは、今週も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報

~東京大学の入試問題から世界を見る⑤ 地下鉄~


地下鉄は、その名の通り地下に線路を敷設することで、都市の移動を効率化する交通手段です。特に大都市においては、地上の交通渋滞を避けるため、地下を活用することで移動時間を短縮し、定時性を保つことができます。また、天候に左右されず、雨や雪の日でも快適に利用できる点が大きな魅力です。一方で、鉄道は地上、地下にかかわらず建設費用が非常に高額であることや、工事にともなう騒音や振動の問題が課題となります。また、地下鉄は密閉された空間を走行するため、空気の循環が必要であり、換気システムの整備も重要な要素です。


なぜ地下鉄を建設する必要があったのかといえば、都市部の急激な人口増加とそれにともなう交通問題を解消するためでした。特に19世紀のロンドンは、産業革命による発展で都市部の人口流入が著しく、通勤や移動のための交通網が追いついていませんでした。地上は鉄道(1836年開業のロンドン&グリニッジ鉄道)や、馬車による路面電車で混雑し、都心部へのアクセスが困難になる中、地上とは別の交通ルートを確保するために地下鉄の構想が生まれました。悪天候に影響されずに安定した移動ができる地下鉄は、都市インフラの大きな強みともなり、次第に多くの都市で必要性が認識されていきました。


ロンドンでは、1830年代に初めて地下鉄の構想が提案されました。1769年にジェームズ・ワットが蒸気機関を改良して以来、鉄道の動力源は蒸気機関が主流であり、地下での運行も蒸気機関車を想定していました。その後、1854年にメトロポリタン鉄道会社が設立され、地下鉄建設の具体的な計画が始動しました。


1860年に着工されたロンドン地下鉄は、地面を掘り下げてトンネルを作り、構造物を構築したあとに再び埋め戻す「カット&カバー工法」が採用されました。トンネル工事は騒音や振動を伴い、市民の不満もありましたが、工事は進行し、1863年にパディントン駅からファリンドン・ストリート駅(当時)までの区間が開業しました。初の地下鉄が開業した一日前の1月8日にアメリカ合衆国にて大陸横断鉄道が着工していますので、当時の最先端輸送はやはり鉄道だったわけです。


ちなみに、同年8月に薩摩国とイギリス帝国との間で戦争(薩英戦争)が勃発していますので、鉄道や地下鉄まで敷設し、世界中に植民地を有した当時のイギリス帝国相手に、よくぞ臆せず立ち向かい、薩摩の誇りを貫いたものです。しかし、これが攘夷の限界を認識した大きな転換期となり、西洋技術の重要性を理解していくようになります。


開業後の地下鉄は、予想以上に市民に支持されましたが、蒸気機関車による運行には課題もありました。やはりトンネル内で蒸気や煤煙がこもりやすく、換気シャフトを設けても十分に排出することが難しかったといいます。特に健康被害として、乗客が煙を吸い込んで頭痛や目の痛みを訴えることもあったようで、蒸気機関車は一時的に排煙を抑える工夫が施されたものの、20世紀に電気での運行が進むまで、こうした問題は根本的な改善には至りませんでした。しかし、ロンドン地下鉄の開業は、他の大都市にも大きな影響を与え、地下鉄建設のモデルケースとなりました。多くの都市がロンドンの成功を参考にし、地下鉄網の整備を進めていきました。


地下鉄は現在、都市の発展とともに重要な交通インフラとして定着しています。混雑緩和や移動時間の短縮といったメリットに加え、排気ガスや騒音を抑える環境面での利点もあり、今後も都市交通に欠かせない存在です。このようにして、地下鉄は単なる交通手段にとどまらず、都市の成長や環境保全、住民の生活の質向上に貢献する大きな意義を持つインフラとなりました。


■1927年、日本で最初の地下鉄が開業

… … …(記事全文10,197文字)
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