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やっぱり地理が好き ~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

宮路秀作(地理講師&コラムニスト)

宮路秀作

やっぱり地理が好き #140:世界の祝祭日と地理学

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やっぱり地理が好き 

~現代世界を地理学的視点で探求するメルマガ~

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第140号(2023年12月31日発行)、今回のラインアップです。

①世界各国の地理情報

 ~世界の祝祭日と地理学~

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こんにちは。

地理講師&コラムニストの宮路秀作です。

日頃、周りの人たちからは「みやじまん」と呼ばれています。

今回で140回目のメルマガ配信となります。


今号が2023年最後の配信となります。

最後にバタバタと配信してしまうこと、大変申し訳なく思います。


今年を振り返ってどうのこうのということはないのですが、とにかくタフな一年だったこと、そして色々と嬉しいこと、悲しいことがたくさんあった一年でした。


書籍を5冊出すという流れが出来つつあったのですが、結局は2冊。あっ、ちなみに来月に1冊発売されます!


『現代世界は地理から学べ』という書籍です。絶賛予約受付中ですので、よろしくお願いします!


▼『現代世界は地理から学べ』(ソシム)

https://www.amazon.co.jp/dp/4802614489


新しい年は、食らいついて何とか流れを滞ることにないように努力していきます。

引き続き、当メルマガをご愛好いただけると嬉しいです。


それでは、今号も知識をアップデートして参りましょう。

よろしくお願いします!


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①世界各国の地理情報


~世界の祝祭日と地理学~



われわれは日々の生活で、昔話に登場するような「おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに」といったことをせずとも、「ボタン一つ」で乾燥までしてくれる洗濯機を利用したり、底に焦げ付くことなく美味しいお米を炊いたりすることができます。こうした「文明の利器」が開発されたからこそ、日々の生活は効率化が図られてきました。しかし、一部には「便利な物」を「贅沢品」と勘違いする人たちがいて、「では、あなたは今の時代に川へ洗濯に行くのですか?」と問いたくなります。


「文明の利器」を利用することで、その分われわれは暇になるはずですが、やっぱり忙しく働いています。しかし空いた時間が出来ても、そこで何かをしようとするわけですから、結局われわれは日々忙しいわけです。


しかし、その空いた時間で何をするかという目的は時代とともに変化してきているのではないでしょうか。


■結局、われわれは忙しい

「日本人は勤勉で、よく働く!」、外国の方からこれまでいわれてきたように思いますが、国内に目を向けてみると「働き方改革だ!」のかけ声とともに総実労働時間は減少傾向にあるようです。


1988年の改正労働基準法の施行をきっかけに、1988年に2092時間あった日本の総実労働時間は2020年には1598時間となっており、減少傾向にあることは間違いありません。もっと遡ると、高度経済成長期(1955~1973年)の日本の総実労働時間は1960年が2426時間、1965年が2312年だったこともあり、なるほど、「企業戦士」や「モーレツ社員」といった用語が存在していたことも理解できるという話です。しかも、1960年の2426時間のうち、所定外労働時間、つまり「残業」が262時間を占めており、割合にすると10.8%と高かった時代でした。


図より他の国を確認してみると、2020年はほとんどの国でコロナ禍の影響から極端に減少していますが、およそ40年の期間でみるとほぼ横ばいに推移しており、日本だけが極端な減少傾向にあります。そう考えると、高度経済成長期の日本人がどれだけ「モーレツ社員」だったかがわかります。


 

(出典)データブック国際労働比較2022より


年間休日数は、「週休日」「週休日以外の休日」「年次有給休暇」の3つからなります。週休日数はどの国も104で変わらないのですが、年次有給休暇数(2020年)をみると、日本は18となっていて、ドイツの30、フランスやイタリアの25と比較しても少ないことが分かります。これだけみると、「そうだよ、日本は有給休暇が取りにくいんだよ!」となりそうですが、週休日以外の休日数をみると、ドイツやフランス、イタリアがともに9であるのに対し、日本は16もあります。これで計算すると、年間休日数はドイツが143となっていますが、日本はフランスやイタリアと同じ138です。つまり、日本は「有休は取りにくいが、祝祭日が多い」といえます。


しかし、祝祭日がまとまって続くわけではなく、飛び飛びに設定されているわけですから、やはり「まとまった休み」を取ることが難しいのはみなさんが実感しているとおりです。そのため海外旅行を楽しもうにも、安くて、近くて、滞在時間が短いという「安近短」が基本となっていました。コロナ禍が明けて、これからまた海外旅行者数が増加すると考えられますが、基本的に旅行先の傾向は変わらないでしょう。


日本における完全週休二日制実施割合は1980年末頃より急増し、1990年代半ば以降は55~60%の間で推移しています。さらに1998年から始まった「ハッピーマンデー制度」により、祝祭日を固定日から月曜日に移動することで土日月に3連休を作り出し、余暇活動を充実させる取り組みが始まりました。

… … …(記事全文9,355文字)
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