Foomii(フーミー)

誰も説明しない世界と日本の現実

山岡鉄秀(情報戦略アナリスト)

山岡鉄秀

米国は誰の戦争を戦っているのか ― イラン攻撃が暴いた主導権の逆転、そして暗殺の影

3行まとめ

•    2026年2月の対イラン共同攻撃は、政治的主導権がテルアビブにあったことを露呈しました

•    レバノン停戦をめぐる米国の説明変更は、ワシントンが既成事実を追認する側に回ったことを示しました

•    カーク暗殺、バトラー事件捜査の打ち切り、ジョー・ケントの離反証言は、トランプの「主体的決断」がすでに機能していない可能性を示唆しています

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誰が決めたのか

問題の核心は「誰が攻撃したか」ではありません。

誰が決めたのか。

そこにこそ本質があります。

2026年2月、米国とイスラエルはイランへの共同軍事行動を実行しました。最高指導者ハメネイ師の殺害計画を含む強硬策を主張したのはネタニヤフであり、トランプはそれを最終的に承認しました。形式上は共同作戦。しかし政治的イニシアチブは、明らかにテルアビブにありました。

誤解してはなりません。トランプは「巻き込まれた被害者」ではありません。最終決断を下し、米軍を投入し、戦争目的を拡張した張本人です。責任は全面的に米国にもあります。

しかし、それでもなお問わねばなりません。

なぜ、米国大統領はその決断に至ったのか。

レバノンで露呈した主導権喪失

事態の本質をさらに露骨に示したのが、停戦をめぐるレバノン問題でした。

2026年4月8日、米国とイランの停戦合意が伝えられたわずか数時間後、イスラエル軍は「永遠の闇作戦(Operation Eternal Darkness)」と称する大規模空爆を開始しました。約100の目標を10分以内に集中攻撃し、ベイルート中心部の商業・住宅密集地にも事前警告なしに着弾。レバノン側の発表で死者は少なくとも357名に達し、レバノン政府はこの日を「ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)」と呼んで国家追悼の日に定めました。


これは散発的な戦闘の継続ではありません。停戦の空気を正面から踏み潰す、計画されたエスカレーションです。イスラエル軍自身、「数週間にわたる綿密な計画の結果」と認めています。

仲介役を務めたパキスタンのシャリフ首相は、現地時間4月8日未明、自身のXに次のように投稿しました。


"With the greatest humility, I am pleased to announce that the Islamic Republic of Iran and the United States of America, along with their allies, have agreed to an immediate ceasefire everywhere including Lebanon and elsewhere, EFFECTIVE IMMEDIATELY."


訳すとこうなります。


「最大の謙虚さをもって発表する。イラン・イスラム共和国とアメリカ合衆国、そしてそれぞれの同盟国は、レバノンを含むあらゆる場所において、即時停戦に合意した。直ちに発効する」


レバノンは明確に、文言として含まれていました。フランスのマクロン大統領も「レバノンは完全に停戦に含まれる」と公言しました。


ところが米政権は「レバノンは停戦対象に含まれない」と主張し始め、報道官キャロライン・レビットも同趣旨を強硬に繰り返したのです。トランプ自身もPBSのインタビューで「ヒズボラがいるからレバノンは含まれない」と明言しました。


ここで決定的な事実が露見しました。

… … …(記事全文4,310文字)
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