… … …(記事全文2,140文字)最近、笑顔について考える機会があった。
笑顔といえば、長らく論争になっているのは霊長類、特に我々に一番近いチンパンジーの〝笑顔〟と我々の笑顔をいっしょととらえてもよいかという問題だ。
随分昔(どうやら1960年代のようだが)、バヤリース・オレンジのテレビ・コマーシャルで、チンパンジーが歯全体をむき出しにして〝笑って〟いる様子が映し出されていた。
しかし、それは決して笑っているのではない。
むしろ怒っているのだということは動物学を学んでいる者には常識だ。
ではチンパンジーが笑っているときはどのような表情なのかというと、少なくとも「多摩動物園公式X」によれば、口を開き、口角を上げ、歯全体ではなく、下の歯だけを見せている場合だ。
下の歯だけというのは、上の歯のうちの最も噛みつく威力のある、犬歯を見せておらず、そのことにより攻撃する意志はないと示しているのだろう。
口角を上げるというと、我々が言う笑顔でも、口角を少し上げる。
ただ上げただけなら微笑で、そのうえ歯全体を見せると大きな笑いとなる。
私などはインタビュー中に写真撮影をされることがよくあるが、必ずと言っていいほど、何かの機会に歯を出し、にっと笑った瞬間を狙い、シャッターを切られる。
なぜ私にとって嫌な、歯を見せ、にっと笑った瞬間なのかと思い続けてきたが、同時にそれは、その人にとって無表情などよりも断然感じよく映る瞬間なのだろうなあ、とも思い続けてきた。
そうして昨年7月の衆議院選東京選挙区の候補者たちの選挙公報とポスターの顔写真をチェックしてみた。

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