… … …(記事全文3,034文字)
石破首相が、いわゆる10万円商品券問題で、ようやく謝罪するに至った。
4月1日のことで、まさかあれはエイプリルフールでしたということはないと思うが、「国民の感情からかけ離れていた」とのことだ。
10万円商品券問題とは3月3日の夜、首相官邸で当選1回の自民党の衆議院議員15人ほどを招いて懇談会が行われた。
首相のほか、林官房長官、副官房長官である、橘慶一郎、青木一彦の両氏も参加し、一年生議員としては大空幸星氏、森下千里氏などの名があがっている。
実は懇談会自体には問題はなく、懇談会に先立ち、首相の事務所関係者が各議員の事務所を訪れ、10万円分の商品券を配布したことだ。
これに対し一年生議員たちは、互いに相談するなどしたのち、ほとんどの議員が返却している。
昨今の政治と金の問題に、一年生議員であるからこそ敏感になっていたのだろう。
実際、「政治資金規正法」によって「政治家個人の政治活動に対する金銭の寄付は原則禁止」とされているのだ。
この問題は3月13日に発覚し、その日の深夜、首相官邸で取材を受けた石破氏は、自らの指示で配布したこと、ポケットマネーからであること、家族へのねぎらいであり、スーツ代の足しにでもなればと思ったなどと答えた。
また政治資金規正法への抵触については、「政治活動に対する寄付ではない」「法的に問題ない」「過去にも同様の会合の際に渡したことがある」と述べている。
最後の「過去にも同様の会合の際に渡したことがある」は弁解にも何もなっておらず、なぜわざわざ自分に不利になることを言うのだろうか、と不可解に思ってしまう。
しかし石破氏としては、自民党という党はそのような慣例の中で運営されてきた、皆やっていることじゃないか、なぜ自分だけが問題視されるのか、ということを強調したのかもしれない。
実際、3月19日のNHKニュースによると、岸田文雄氏も首相時代に総理公邸で開かれた政務会の懇談会で、出席者に10万円の商品券を配り、出席者たちも受け取っている。
岸田事務所によれば「法令に従って適正に対応している」。
菅義偉氏も首相時代に「政治家を含めてさまざまな方との会合をもち、その際に手土産を差し上げたことはあるが、いずれも法令の範囲内で適正に行っている」と菅事務所。
自民党船田元経済企画庁長官は「それに近いような慣例は過去にあったことは事実であり私もそういう場に居合わせたこともあった。政治資金について国会議員、特に自民党の議員が過去にルーズであったということは反省しないといけない」と述べた。
そうしてみると石破氏は、昨今、政治と金が非常にシビアーな問題となっているという情報のアップデートができていないということになる。
しかし3月22日、ヤフーニュースに転載された「現代ビジネス」の記事によると、その後石破氏は「10万円は社会通念上土産として通用する話ではない」「世間の方々の感覚と乖離があったと痛切に思う。大変申し訳ない」と軌道を大きく修正し、述べたという。
ところがまさに同じ記事の中で判明し、私があきれ返ったのは、一年生議員たちが返却した商品券を石破氏は懲りずに、すぐにまた配ったという事実である。
こうした振る舞いを一年生議員はどう感じただろう。心底あきれる? もはや政治に失望した? 新人議員たちと、永田町にどっぷりつかって数十年の石破氏との感覚のずれはもはや打つ手なしというくらいに乖離している。それは悲しみや哀れを感ずるほどなのである。
石破氏について、もう一つ仰天のニュースが3月31日の出来事だ。
この日石破氏は、令和7年度予算案の再修正案成立を受け、各会派を挨拶周りしていた。そうして「NHKから国民を守る党」に立ち寄り、党首である立花孝志氏の姿を見た石破氏が放った言葉が「どうしました?」。
購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン