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最近、世間を賑わせた事件として、三菱UFJ銀行17億円窃盗事件がある。
昨年10月末に発覚したこの事件は、元行員の今村由香理容疑者(46)が2020年4月から2024年10月にかけて、支店長代理や営業課長といった立場を利用し、スペアキーを使って貸金庫を開け、顧客の現金や貴金属を盗んだというもの。
被害にあったのは約60人、総額で約17億円という被害額だ。
10月末に事件が発覚したときの逮捕容疑は、9月下旬、練馬支店で顧客男性2人の貸金庫から金塊を計20キログラム(2.6億円相当)を盗みだし、7つの質店で質入れして1.7億円に換金したことによる。
2.6億が1.7億に換金されるのは、効率が良いのか悪いのか……。
ともあれ、今村容疑者は短大卒業後、一般職として入行したのち総合職に転向して出世。
事件後に離婚したものの、資産家の夫がおり、仕事ぶりに優れ、顧客からも信頼される。
そんな彼女がなぜ?ということになるが、原因は借金だ。
FX(外国為替証拠金取引)という、この銀行の内規で禁止されているハイリスクの投資に失敗し、多額の借金を背負ったからだ。
多額の借金と貸金庫を自由に開けられる立場……。
条件が揃ってしまったわけだが、所詮は自身に原因があり、まったく同情することができない。
しかし、女子行員による横領や詐欺の事件が頻発する中、私がどうしても忘れられないのは次の二つの事件だ。
まず、三和銀行オンライン詐欺事件。
1981年3月25日、大阪府の三和銀行茨木支店(現、三菱UFJ銀行茨木支店)で女子行員、伊藤素子(32)がオンライン端末を操作し、計1億8千万円を4つの架空口座に不正送金した。
彼女はその日のうちに大阪の2つの架空口座から、飛行機で東京に移動し、東京の2つの架空口座から、現金と小切手を引き出したのだ。
犯行が3月25日であるのは、給与の振り込み日と決算期が重なるというお金の移動が最も激しい日を狙ったという意味がある。
彼女はたった一人でいきなりこんな大胆な犯行に至ったわけではない。
高校を卒業したのちこの支店で預金係として働いていたが、12年にもわたり不倫関係の相手がいた。
そんな進展のない関係に割り込んできたのが、実業家を名乗る南敏之で、既婚者であることを隠していた。
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