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この8月はオリンピック開催のせいもあるのだろうか、SNS上における炎上騒ぎが目立っていた。
中でもタレントのフワちゃんとピン芸人のやす子さんの間に起きた一件は大きな反響を呼んだ。
実はこの二人について、名前は聞いたことはあるものの、実際のキャラクターや芸についてはまったく知らなかった。
この2年半くらいというもの、テレビは一切見ておらず、特にバラエティ番組はいじりと称し、実は誰かを標的にいじめをしているにすぎないという実態に、それ以前から避けていたからである。
騒動が起きてからYouTubeで二人についての情報を得た。
まずはフワちゃんだ。
彼女のキャラクターはタメ口(目上の人に同年齢の友だちと話すのと同じようなしゃべり方をすること)と無礼。
本人がどこまで意識しているか、タメ口や無礼な態度は芸風であると共演者などからあらかじめ了承を得ているのか、わからない点が多いが、ざっと見た限り、これでよくテレビに出続けられるなあ、というくらいにひどい(ただ一部の大御所に対してはセーブしているようだった)。
かつて私が見ていて嫌になった、バラエティ番組のいじめ体質がフワちゃんというタレントによって一層過激さを増したかのように思われる。
フワちゃんについてはそのほかに遅刻の常習犯であること、忘れ物が多く、物を壊してしまうなど、トラブルメーカーであり、周囲は我慢の限界にあるのではないかと思われた。
一方のやす子さんだが、芸ははっきり言ってあまり面白くない。
素人に毛が生えたか、生えない程度。
ただ、こんな人がよく今の芸能界にいたものだと思うくらいに世間ずれしていない。
他の芸人に対する態度も、作為的でなく素直であり、なるほど、こういうところが今時貴重で、受けているのだろうと思われた。
彼女の経歴を見ると幼いころに両親が離婚し、母子家庭に育つも、母親がネグレクト気味のため、中高と養護施設で育ったとある。
高校ではこの件でいじめにあい、高卒後は自衛隊に入隊。
この自衛隊体験がネタとして生かされ、彼女の人気の一因になっている。
このように見てみると、やす子さんは世間ずれしていないというよりも、世間の暗部を嫌と言うほど経験した結果、達観し、芸能界には珍しいナチュラルな存在になったということかもしれない。
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竹内久美子(動物行動学研究家 エッセイスト)