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藤井聡・クライテリオン日記~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

財務省の最後の砦は「マクロ経済モデル」となった――高市内閣「骨太方針」をダイナミックスコアリングの視点から読み解く

高市内閣が始まって以来、ついに、待ちに待った、高市総理が初めて手がける「骨太の方針」の原案が示されました!

 

その様子が様々に報道されていますが、ざっと簡単に解説いたしましょう。

 

何よりもまず注目度が高いのがこの点。

 

「財政運営の目標については、単年度のプライマリーバランス(PB)黒字化を機械的に追うのではなく、国と地方を合わせた債務残高対GDP比の安定的な低下を中核に据える。景気変動や危機管理投資・成長投資の必要性に応じて、PBの一時的な悪化も許容し得るとした点が特徴だ。これまで基本方針で繰り返し使われてきた『財政健全化』という表現は姿を消し、『財政の持続可能性』という言葉に統一されている。」

https://www.projectdesign.jp/articles/news/d4c52e21-e138-4d4a-9bee-e0fe9caba33c

 

この概念は筆者が、2018年に出版し、その後も二度、大幅改訂して出版してきた

 

 「プライマリーバランス亡国論」https://www.amazon.co.jp/dp/4867691402

 

における最大の主張ポイントでした。

 

PB規律があるからこそ、国債の発行量に制限が加えられ、国家のために絶対に必要な政府活動ができなくなる……これがプライマリーバランス亡国論です。

 

そんな亡国を避けるには、PB規律の完全撤廃が必要だったのです。

 

上記報道では、そのようなプライマリーバランス亡国論に基づいて、財政規律が適正化されたように見受けられます。

 

しかし……本当でしょうか?

 

実際の政府公表の「骨太の方針」を見てみましょう。

https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0630_shiryo01.pdf

 

政府資料には、この点について次のように書かれています。

 

「PBについては、債務残高対GDP比の低下に向けて確認する指標とし、その安定的低下と整合するよう複数年で管理する。単年度の黒字化時期を機械的に追うのではなく、経済・金利環境、歳入歳出の動向を踏まえ、景気変動や危機管理投資・成長投資の必要性に応じて一時的な悪化も許容し得るものとしつつ、債務残高対GDP比の安定的な低下に向けて、改善・管理していく。

 

また、PB、GDP、純利払い費、財政収支等が債務残高対GDP比に与える寄与を分析し、財政の持続可能性の確保に取り組む。その上で、今後の予算編成に当たっては、税収動向等を見極めつつ、歳出・歳入両面の見直しを進めることとあわせて、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく中でも可能となる財政規模を精査し、市場の信認確保に配意しつつ、通年の国債発行額などを具体化する89

 

(89 財政規模については、中期的な債務経路と整合的な形で柔軟に管理する。令和9年度の通年の国債発行額は、市場の信認確保に配意しつつ、『日本成長戦略の下での中長期的な経済・財政の姿に関する試算』などを踏まえ、経済動向や税収動向等を見極めながら、予算編成過程で検討する。)」

 

なかなか難解な日本語ですね。

 

しかし、この骨太の方針で「一番」大切なのが上記の箇所です。

 

結論から言って、なかなか良い文章です。

 

この箇所には、財務省がいろいろな罠を仕掛けるための全力の工作を仕掛けてきたはずですが、しっかり防御できているように思われます。

 

以下、解説して参りましょう。

 

… … …(記事全文4,524文字)
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