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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

高市早苗氏、総裁選、出馬へ――その歴史的、かつ、国家的な「意義」は、去年からの国政選挙結果を踏まえれば改めて誰もが分かる形でハッキリと浮かび上がることとなります。

今、日本人は「積極財政」で日本経済と暮らしを立て直し、「日本の国益のための政治」でもって日本の社会と国家を立て直す政治家を心から希求しています。

 

つまり、緊縮財政ではない「積極財政」を主張し、移民政策を推進するリベラル・グローバリストではなく、日本の国民のための「国民民主主義者」(英語で簡潔に言うならnationalist、あるいは、日本語で簡潔に言うなら「保守」)の政治家、政党を日本人は希求しているのです。

 

その結果が、今年の参院選の日本人ファーストを唱える保守系の参政党の躍進であり、積極財政を唱える国民民主党の躍進であり、緊縮&リベラル&グローバリズムを主張する石破自民の大敗だったのです。

 

さらに言うなら、その「流れ」は、今年急に降ってわいたのではなく、前回の衆議院選挙において、国民民主党の躍進と石破自民の大敗を、昨年11月の時点で導いたのです。

 

さらにさらに言うなら、その「流れ」は昨年の自民党総裁選において(二次投票で“永田町の論理”によって惜しくも勝利を逃した)自民党随一の積極財政派でありかつ保守系議員である高市早苗氏が、第一次投票の党員党友票で圧倒的に一位になったという帰結も、昨年9月時点でもたらしていたのです。

 

つまり、「積極財政」の「保守」の政党・政治家が国政選挙において大きな国民の支持を受ける一方、岸田、石破等が唱え続けた「緊縮財政」の「リベラル」な政党・政治家から多くの国民が離れていった流れが、この一年間、特に拡大しつつあるのです。

 

それにも関わらず、現在の自由民主党の総裁候補の多くは「緊縮主義」であり、移民政策を堂々と適正化すべしと主張することを憚る「リベラル」な政治家です。

 

例えば総裁候補の筆頭株と目されている小泉進次郎氏は、彼の口から積極財政がそれこそ積極的に唱えられることはこれまで全くありませんし、新しい「リベラリズム」と言われる新自由主義的構造改革(公的機関の民営化や株式会社化、自由化)を繰り返しています。

 

あるいは、岸田派の重鎮である林芳正氏も、日中友好議連の代表を務める「保守」とは言い難い政治信条をお持ちの方で、かつ、彼の口から積極的に積極財政が語られることもありません。

 

その他の候補にしても、「保守」(あるいはnationalist)の側面や「積極財政」の側面で、国民民主党の玉木氏らと同水準、あるいはそれ以上の政策論を展開される方は殆ど見当たりません。

 

そんな中で、やはり昨年の総裁選の党員投票で一位になられた高市早苗氏は、自民党総裁候補の中で、随一の「積極財政」論者であり、かつ「保守」政治家であると言うことができるでしょう。

 

もちろん、積極財政派の国民、保守はの国民の中には「まだまだぬるい」と指摘する向きも一部において見られますが、相対的に考えた時、積極財政的志向、保守的志向という二点において総裁候補の中で断トツの志向性をお持ちの候補者であることは、誰もが同意するところだと思われます。

 

しかし、(岸田政権、そして石破政権の両期間を経ることを通して)リベラル系や緊縮財政系の議員が勢力を拡大してきた昨今の自民党の「国会議員団」の中では、必ずしも支持を集められれず、20名の推薦人を集めるのも難しいのではないかと一部報道では言われていました。

 

しかし…この度20名の推薦人の目処があっさりと立ち、高市氏は総裁選への出馬の意向を固め、週内に表明の見通しである、との報道が本日配信されました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/776d81b7313dc0ac77c79572c5a6a6e2d622d366

 

このYahoo記事には、配信後わずか3時間で約5000ものコメントが付与されています。そしてその中でも、最も「いいね」を集めたコメント(配信後3時間の時点での「いいね」数は1.8万)は、次のようなものでした。

 

「去年の総裁選は、裏で岸田前総理が暗躍したせいで、高市さんが総裁に選ばれませんでした。石破さんを担いだ、岸田前総理は本当に最低な行動をしました。私は岸田さんが大嫌いです。 高市さんには、今回の総裁選頑張って貰いたいです。そして新しく高市総裁になられたら、岸田政権、石破政権によって左翼化し始めて居る自民党を保守政党として立て直して欲しいですね。」

 

このコメントがこれだけ多くの「いいね」を「瞬時」に集めたという事実は、このコメントと同様の「気分」を持つ物言わぬ国民が我が国には実に大量に潜在しているということを意味しています。

 

この「現象」はまさに、昨年の総裁選と衆議院選挙、そして今年の参議院選挙で「積極財政」かつ「保守」の政党・政治家が圧倒的な支持を受け始めたという「現象」と完全に通底しています。

 

その一点を考えるだけでも、高市氏が総裁になれば(リベラル系や親中派、緊縮派から)それこそ、「オールメディア」上で、それなりの批判に曝される事になるでしょうが、それを上回る「幅広い国民的支持」を、高市氏が受けるであろうことは確実です。

 

そしてそれと同時に、進次郎氏に代表される「オールドメディア」好みのリベラル(新自由主義)で緊縮派の政治家が総裁になれば、自民党の凋落はさらに加速することは必至だと言うことができるでしょう。

(例えば、下記ツイートが1.9万「いいね」を集めたことからも…

… … …(記事全文3,020文字)
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