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藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~

藤井聡(京都大学教授・表現者クライテリオン編集長)

藤井聡

財務省&オールドメディアが主張する「オカネがないから地方インフラは撤退すべし」論は,恐るべき不道徳な議論である――ということの根本的な理由.

八潮市の道路陥没以来,オールドメディア上で展開されている論調は,概ね次のようなものです.

 

「インフラ老朽化対策は、年間12兆円ものお金がかかる。でも、そんだけのオカネなんかないんだから、優先順位を決めて、必要なものは維持して、不要なものはなくしていくことが賢明だ。つまり、“インフラノトリアージ”や“コンパクトシティ”が必要だ」

 

ですが,こうした財務省的見解は著しく「不当」なものなのです.

 

なぜそう言えるのか…という点について本日,とある依頼原稿で改めて論じましたので,下記にご紹介差し上げます.

 

是非,ご一読下さい.

 

 

まず第一にオールドメディアの財務省的見解が踏襲する「年間の12兆円の予算がかかる」という主張は,国土交通省が「もし事前の対策を何もせず,ただただ自然にインフラが壊れ,壊れた後に,新しいものを作る」という,全く計画性のない行政対応を繰り返した場合に罹るであろう年間出費額に基づくものである.

 

ところが国土交通省は,その試算を公表すると同時に,もしも事前対策をしっかりと行った場合,老朽化対策費は圧倒的に予算を圧縮できる,その場合は,年間の出費額はおおよそ6兆円程度に「半減できる」という試算もあわせて公表しているのである(出典:国土交通省「国土交通省所管分野における社会資本の将来の維持管理・更新費の推計」〈2018年度〉).

 

つまり,オールドメディア上の財務省的見解は,国土交通省が公表している試算の一部を「切り取って」,彼ら自身にとって都合の良い論調を作り上げているに過ぎないのだ.

 

では事前の合理的対策とは一体何かと言えば…

… … …(記事全文3,897文字)
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