… … …(記事全文6,709文字)壮絶悲惨な「介護殺人」が後を絶たない日本の超高齢社会。介護殺人予備群は潜在的に多く存在し、追い詰められた生活を続けている。「介護殺人事件」において、介護サービスを受けているか否かは重要な分岐点だ
◆〔特別情報1〕
TBSは10日、「認知症の妻の腹を複数回踏みつけ死亡させた68歳夫の裁判 検察は懲役5年求刑 弁護側は『猶予付き判決が相当』と主張 新潟」という見出しをつけて次のように報道した。
「新潟県五泉市の自宅で2024年7月、認知症の妻の腹を複数回踏みつけ、ろっ骨を折るなどして死亡させた罪に問われている木村敏行被告の裁判で検察は12日、懲役5年を求刑しました。
犯行当時、うつ状態だった被告に責任能力があるかどうかが争点となった今回の裁判。
検察側は善悪を判断する能力、行動を制御する能力はいずれも保たれていて、犯行当時、被告には完全に責任能力があったと指摘。
一方、弁護側はうつ病や介護の負担などで、限界まで追い込まれていた被告は犯行当時、心神耗弱状態だったとして、執行猶予付き判決が相当だと主張しました。判決は3月18日に言い渡されます。」
同事件についてテレビ朝日は10日、「認知症の妻(66)を暴行死 裁判で涙の被告“介護の実情”」という見出しをつけた記事のなか、木村被告が介護の実情について語った内容を次のように報道している。
「気に入らないと急に食べ物を吐き掛けたりした。指をかまれる、引っかかれることもあった。食事はすべてやってあげないと、トイレに連れて行くのも難儀した。(徘徊(はいかい)して)いなくなることもあったので息子がセンサーを付けてくれた。でも自分が寝不足でそれに気付かないと外に行ってしまう。買い物は妻が寝ている深夜2時ごろ、コンビニでしていた。寝不足、疲労、切なくなる。疲労や脱力感、でも自分がやるしかない。なるべく人と会わないよう、女房と家に閉じこもりました。私としては精いっぱいやったつもり、やれることはやった。結果をみれば、大変なことを起こしてしまって申し訳ない気持ちでいっぱい」
徘徊もあったということは、妻の認知症は初期の段階から進行し、周囲のサポートが不可欠な中等度であったと考えられる。介護負担が最も大きい時期である中等度・認知症の妻の介護を、うつ病の木村被告が一人で担っていたのだろうか。いわゆる公的介護サービスを受けていたのかどうか、どの記事を読んでも、その点についての事情が書かれていない。しかし、木村被告の言葉から推察すると、サービスを受けていたようには思われない。もしその推察が正しければ、なぜ公的介護サーピスを受けずに、一人で認知症の妻の介護を抱えてしまっていたのか。介護殺人に至る経緯のなかで、そこがどうであったのかが重要ではないか。そして、介護殺人予備群は、恐らく潜在的に多くいることも予測される。それが「人生100年時代」の日本の高齢社会の現実である。

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