□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年6月30日第452号 ■ ============================================================== 北朝鮮のミサイル発射がぶち壊した安倍欺瞞外交 ============================================================== 北朝鮮が、ここぞと言う時にミサイル発射を行う事も、そしてその意図が不明である事も、今に始まったことではない。 だから北朝鮮がミサイル発射を行った事自体には驚かない。 しかし、今度の北朝鮮のミサイル発射は特別の意味を持つ。 これほど安倍首相にとって、不都合で、タイミングが悪く、いまいましいものはないからだ。 なぜならば、それはあの5月29日の拉致再調査合意の欺瞞外交を見事に吹っ飛ばすことになるからだ。 しかし、それも自業自得だ。 すでにあの当時からささやかれていた。 北朝鮮が、核実験を行ったら、それでも日本は拉致問題協議を続けられるのか、制裁緩和をできるのか、と。 日米韓の協力にひびが入らないのか、と。 それでも安倍政権は拉致問題を優先させるのか、と。 米国や韓国が何と言おうと安倍首相は北朝鮮と拉致問題の解決交渉を優先させる腹を固めていたとでもいうのか。 いや、それはさすがに出来ないから、そのおそれを危惧しつつ、それだけは北朝鮮、止めてくれ、と祈る気持ちで日朝協議を行っていたとでも言うのか。 核実験でなく、単なるミサイル発射だったことを、安倍首相はむしろ喜ぶべきとでもいうのか。 拉致問題の解決が本物の解決を目指すのならまだ理解できる。 しかし、一部のあらたな被害者の救済で手を打って拉致問題の幕引きを図ろうとするものであれば、そしてすでにその方向で、メディアが盛んに書き始めて世論誘導を行っているが、とんでもな外交の私物化である。 いずれにして驚くべき稚拙な外交だ。 今度の北朝鮮のミサイル発射は、我々に安倍拉致外交の正体を明かしてくれた。 それは、この期に及んでも、日朝協議は予定どおり行う予定であると各紙が書いていることで明らかだ。 これを要するに、安倍首相は何があっても自分の手で拉致問題を解決したいという事だ。 しかも、それは拉致被害者の根本救済ではなく、自分の政治的野心のために、北朝鮮に朝鮮総連本部問題や万景峰号入港などで譲歩してまで、成果を得ようとしていることだ。 それをメディアは知っていながら協力してきたということだ。 二つ目に、拉致問題に解決に向けた統一的な意思決定がいまの安倍政権にはないということだ。 安倍・菅政権と岸田外務大臣、さらには古屋拉致問題担当相と警察など、互いがバラバラになってそれぞれの思惑で拉致問題を進めようとしてきた事が、ここに来て一気に表面化してきたという事だ。 しかも、右翼も左翼も安倍政権の対北朝鮮政策に好意的である。 この安倍外交の欺瞞こそ、日本外交の欺瞞である。 しかし、北朝鮮のミサイル発射がぶち壊す拉致交渉がきっかけで、安倍欺瞞外交のすべての歯車が狂い出すかもしれない。 それほど衝撃的な北朝鮮のミサイル発射だと私は見ている(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)