□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年11月25日第892号 ■ ============================================================= 防空識別圏が思い出させてくれた北方限界線(NLL) ============================================================ 一夜明けて、私はきょう11月26日の各紙が中国が突きつけた防空識別圏問題についてどう報道するか真っ先に読み比べた。 いうまでもなく元航空自衛官が教えてくれた防空識別圏の経緯についてどの新聞が、どう言及するかを見つけるためである。 すべての報道が中国批判一色だ。 中国寄りと右翼から批判される朝日でさえ中国批判を繰り返している。 そのような中で、毎日新聞「質問なるほどり」と日経新聞「Q&A」が要旨次のように防空識別圏の事を書いていた。 「領空を侵犯しようとする航空機などに対応するため、各国が領空の外側に設けている空域で国際法上の規定はなく、各国が国内法などで定める。 日本は1969年に防衛庁(当時)が訓令で定めた。第二次大戦後、米国が日本の航空管制などをしていた区域をほぼそのまま踏襲し、領土、領海、領空とは必ずしも一致していない。 日本や韓国、台湾など米国と関係が深い国・地域が設けている。 防空識別圏の設定自体に違法性はない(入ってはいけない空域ではない)とされ、日本は米国などと連携しながら中国の運用に異議を唱えつつ警戒を強めることになる」 これで思い出すのが朝鮮戦争後に設定された北方限界線だ。 いまから三年ほど前の2010年11月23日に延坪島砲撃事件(ヨンピョンドほうげきじけん)というのがあった。 あの時我々が再認識したのは、北朝鮮と韓国はいまだ戦争状態であり一時休戦しているに過ぎないこと、その時国連軍(事実上の米軍)と北朝鮮との間で引かれた海洋上の休戦ラインである北方限界線があまりにも不当に北朝鮮本土近くに引かれており、そのライン近くにあるは延坪島からの威嚇に対する自衛攻撃だと言って北朝鮮が発砲したこと、などである。 北朝鮮の言い分を支持するつもりはない。 しかし、ここで注目すべきは米国主導で設定される安保政策上のラインは、冷戦時代に設定された一方的、不平等なものであり、それ自体が緊張の原因となっているという点である。 今度の防空識別圏問題で中国はすかさず米国に対し次のように反駁した。 「米国がこの問題で不当な言動を控え、日本の冒険的性質を助長する誤ったシグナルを送らないよう望む」と。 また11月25日の中国軍機関紙、解放軍報は「中国よりも先に防空識別圏を設定した日本が中国の防空識別圏設定にあれこれ言う権利はない」と指摘した(11月26日産経新聞)。 この中国側の反論を支持するつもりはない。 しかし米国の決めた防空識別圏もまた、大きく中国側に及んでいる事も我々は知るようになった。 防空識別圏問題はまさしく米国と中国の問題なのである。 沈黙を守っている米国の代弁者のようになって中国と争いをエスカレートする安倍政権は愚の骨頂である。 不毛な対中抗議を繰り返すのではなく、一刻もはやく日中首脳会談を申し入れ、この防空識別圏問題が不測の事態に発展しないような合意を目指すべきだ。 話し合いが始まればおのずと危機は遠ざけられる。 日中関係改善のきっかけを見つけることができる。 防空識別圏問題は日本に対米従属外交から決別し、自主、自立したアジア外交への転換を迫っているのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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