□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月24日第401号 ■ ============================================================== 政局の鍵を握るのは消費税増税問題ではなく原発問題だ ============================================================== なぜ政局について書かないのかという読者からの声がある。 書きたいのはやまやまだが書けない理由がいくつかある。 小沢派と行動をともにしているからだ。下手なことは書けない。 何よりも書けるほどの明確な情報や動きがない。 ごく少数の主要政治家たちが政局を動かし、ほとんどの政治家たちは 何がどうなっているのかわからない状態なのだ。 しかも政局を動かしている主要政治家たちもどうしていいかわから ないのだ。 確固とした戦略とその成算があるわけではない。 政治家たちがそうであるから、政治記者もまた確固とした意見や 見通しがあるわけではない。 ここにきて政治ニュースがつまらなくなっている理由がここにある。 それでは今後どう動いていくのか。 ここから先は私の個人的な推測と思って読んでいただきたい。 消費税よりも原発問題が政局の鍵を握るのではないか。 そうあってほしいと私は思う。 小沢一郎の真の敵は野田首相ではなく仙谷由人政調会長代行である。 そう私は思う。 奇しくもきょう(5月24日)の毎日、東京、朝日の記事が原発問題 の深刻性を教えてくれている。 一つは毎日新聞の一面トップのスクープ記事だ。 原子力委員会が秘密会議を開いて核燃料サイクル評価の報告案を推進 派に有利なように書き換えていた事をすっぱ抜いた。 驚くべきはその工作が行なわれていたのが4月24日だということだ。 反原発の世論の動きが高まっている真っ只中で、この国の政府と官僚 と有識者が結託して原発推進を画策しているのだ。 二つは東京新聞のこちら特報部が取り上げていた原発再稼動に向けて の政府と東電の「協調」である。 国民の命より電力会社優先。 これが野田政権の本質だと「デスクメモ」が書いている。そのとおり である。 そして三つ目が世界保健機関(WHO)の内部被曝推計結果の発表に 関する朝日新聞の記事だ。 福島原発周辺の住民の被曝数値についてWHOの推計値は日本政府の 推計値より高い数値が並んでいる。 なぜこの違いが出たのか。 「線量の推計が、いかなることがあっても実態より低く出ることが ないようにした」と説明するWHOと、「こんな報告書が発表されれば、 国民の不安をいたずらにあおり、風評被害を招く」とする日本政府の、 放射線と人権に関する基本姿勢の違いである。 それはまた放射腺と人権に関する国際社会と日本政府の基本姿勢の 違いでもある。 原発問題はこの国の権力構造そのものだ。 これを変えられない限り日本は変われない。 そしてこの国の原発事故対策と今後の原発政策について、いま日本で 最も影響力を持っている政治家は仙谷由人政調会長代理である。 前掲のこちら特報部デスクメモでもこう書かれている。 「・・・原発再稼動を頑迷に主張する民主党の仙谷氏は(再稼動 しないと)原発は資産から負債になるので、脱原発は直ちにできないと 民主党の会議で語った、と」 極めつけは仙谷氏が原発再稼動に見せる執念を見事にあらわす5月 16日の日経新聞の記事だ。 「迫真 国有東電の軌跡」という連載記事ので次の言うな仙谷氏の 発言が書かれていた。 消費税増税反対を訴えると同時に原発再稼動に慎重な小沢一郎を 皮肉ってこう言ったという。 (経済成長が重要だと言って消費税増税を反対しているが)「経済成長 には原発再稼動が必要だが・・・・」 そして仙谷氏はこう漏らしていると書かれている。 「誰かがやらなければ。俺たちは選挙に落ちてでも再稼動しないとな」 政治家にとってこれほど傲慢な言葉はない。 来週にも開かれる野田首相との会談で、もし小沢一郎が消費税増税で 妥協すればその時点で小沢一郎は終わりだ。 それを一番よく知っているのは小沢一郎だ。 だから小沢一郎に妥協はない。 これが私が小沢側近から私が聞いている話だ。 しかし小沢一郎には消費税増税に固執する野田首相と対決することより もっと重要な事がある。 それは脱原発を明言し、仙谷民主党政調会長代行と国民の目の前で対決 することだ。 その事を私は提言し続けている。 了 おしらせ ■天木×植草リアルタイム時事対談第5回の動画配信 http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/ ●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者) ●配信日時:2012年5月26日(土曜日) 19時00分~20時30分放送予定 今回のテーマは小沢裁判の無罪判決とその後の控訴の持つ意味。 そして小沢氏の復権はあるのか。あるとすればその最善のシナリオ は何かについて語ります。 その他にも最近の国内、国際情勢についても語ります。 有料メールマガジン読者は「リアルタイム時事対談」生配信を無 料で視聴できます。 アーカイブ動画配信につきましては、後日、動画配信記事として 有料(315円)で販売されます。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)