□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年1月27日第71号 ■ ========================================================= 護憲の役割を放棄した社会党の終焉 ========================================================== かつて私が外務省に入った60年代の終わりの頃、国会審議の花形 は予算委員会における安保論争であった。 あの沖縄密約が追及された時もそうだった。 当時より日米安保条約に疑念を抱いていた私は、護憲政党の攻勢 の鋭さに、敵ながらあっぱれと思っていた。 共産党はもちろん鋭いのだが、自民党を追い込む事のできるのは やはり国民政党としての社会党だった。 その社会党が三つに分裂し、そしていま終焉を迎えようとしている。 1月26日の朝日新聞「余滴」という社説において政治社説担当の 小沢秀行という記者が「社民党はチャンスを逃がした」という表題で 社民党の終焉を悲しんでいた。 なぜ党首選ができなかったのか。 なぜ告示前日に名乗りを上げた稲森稔尚(としなお)という三重県 伊賀市議の反乱を党再生のチャンスとして生かさなかったのか、と。 私もそう思う。 思えば私が安保論争で社会党に期待した時が懐かしい。 あの後、社会党は三つに分裂した。 保守・現実派の社会党の大勢は民主党に合流した。 民主党に入れてもらえなかった社民党はまとまらず、その後さらに 二分した。 すなわち日米安保や自衛隊を認める今の社民党と、それを潔しと しない純粋な社会党左派が作った新社会党に分裂した。 新社会党を作ったのが矢田部理議員だった。彼の国会質疑の鋭さを 私はいつも感心して聞いたものだ。 私は三つに分かれた社会党の中で新社会党にもっとも共感を抱き、 選挙では応援していた。 しかし選挙のたびごとに衰退し、ついに国会議員を一人も出せなく なって国政から消えた。 そしていま社民党が終焉を迎えつつある。 これと対照的に、民主党へ合流した保守・現実的なかつての社会党 議員たちは、政権政党となって権力をほしいままにしている。どんどん と右傾化するこの国の安保政策などお構いなしだ。 そんな「元」社会党議員は、今の民主党に数多くいるが、その中でも もっとも権力をほしいままにしているのが輿石幹事長だ。 政策を語ることなく政局にたけた古い国対政治家の典型だ。 思えば純粋な者から順番に衰退していったと思う。 現実派という名の変わり身の早い政治家だけが生き残っていく。 社会党の分裂、終焉とともに日本の政治が総保守化し、もはや健全な 安保論争が国会から消えて久しい。 純粋に平和を願い、だからこそ日米同盟は誤りだと唱える者たちが 消えて行き、政権を取ったら立場が変わるのは当然だと開き直るような 政治家が跋扈する今の政治。 私はそれが残念でならない。 民主党に移ったかつての社会党の政治家たちはうまくいったと思っている かも知れない。 それを支えている連合は権力を謳歌している。 しかし彼らもまた、まもなく行き場を失う事になるだろう。 民主党は早晩分裂し、保守政党間の政界再編の嵐のなかで、元社会党議員 は労働組合とともに、見放されることになる。 それとも彼らが一緒になって、公明党のように常に政権政党と連立を組む ことだけを考える政党を目指すことになるのだろうか。 私は願う。 いつの日かこの国の政治の中に、平和を最優先に考える本当の護憲政党が 生まれてくる事を。純粋に護憲を唱える政治家たちだけの政党を。 護憲政党は政権を取らなくてもいい。 政治には縁遠くとも、平和だけは大切にしたいと願う多くの国民の声を 国政に届け、保守政権の憲法9条違反だけは許さないという役割を担えば 十分だ。 その役割を放棄したことと、社会党の衰退、終焉は見事に一致する。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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