□■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年5月12日発行 第183号 □■ ────────────────────────────────── ■ ソマリア沖海賊問題と護憲派の弱点 ソマリア沖海賊対策のために海上自衛隊に派遣されて一ヶ月以上がたった。 法的根拠のないままに見切り発車で派遣されたことと言い、現場の自衛官に 武力行使の判断が委ねられていることと言い、さらには護衛艦や対潜哨戒機の 遠方派遣といい、今回の海上自衛隊のソマリア沖派遣は、かつてない重大かつ 明白な憲法9条否定である。 それにもかかわらず護憲派の無力ぶりが目立つ。政府、自衛隊の大手を振った 無法ぶりは放置されたままだ。 まさしく、伊勢崎賢治氏が5月2日の朝日新聞で喝破していたとおり、 「最も激しい反対運動が起きると思ったのですが、当の護憲派が反応しない。 『憲法9条は(そんな)日本人にはもったいない』」のである。 なぜ海賊問題で護憲派はこれほどまでに無力、無気力なのか。 それは、海賊対策が警備、警察行動であるからだ。それ故に憲法9条違反 問題とならない、と反論されると、それ以上の追及ができないからだ。 なによりも、日本の国民(商船)が現に被害を蒙っている。海自を派遣するな、 と言うだけでは、国民の共感と信頼は得られないのからだ。 この事に関連し、5月11日の毎日新聞は、極めて重要な記事を掲載していた。 その記事の要旨はこうである。 ・・・日本企業(日本郵船)がロンドン郊外にある欧州連合(EU)海軍作戦 司令部へ船長を派遣している。「海賊対策には商船の運用情報が必要」という EU司令部の要請に対し、「これまでのお礼」として、そして「今後の安全 対策のため」に、UE軍に協力せざるをえないのだ。 08年4月21日、ソマリア沖のアデン湾で大型タンカー「高山」が襲われ、 被害が現実のものとなった。日本郵船は政府に安全対策を求めた。しかし、 海上保安庁は装備や運用の難点をあげて辞退。防衛省も自衛艦派遣に慎重だった。 政府が動いたのは12月末、中国が海軍派遣を表明してからだ。海賊対策に 熱心でなかった米国が動き出した時期と一致する。 最終的に海自護衛艦「さざなみ」、「さみだれ」が派遣され、アデン湾で 護衛を始めたのは本年3月30日。「高山事件」からほぼ一年がたってからだ。 海賊対策さえも、国民の安全確保より対米追従だったのだ・・・ 護憲派は、この現実に焦点をあて、政府の国民無視、対米従属を批判せよ。 その一方で、憲法9条を守った上での国民保護の具体策を早急に打ち出すべき なのだ。 海上保安庁による海賊対策を選ぶなら、早急に予算措置を講じて巡視船の 警備体制を強化する。 国際協力による解決を選ぶなら早急に日本政府にその外交を迫り、憲法9条 の範囲でできる応分の協力案を提示すべきだ。 EU軍との連携を図るなら、EU軍への協力を、民間に任せるのではなく 政府でこれを行なう。 憲法9条の範囲内で行なえる対策はいくらでもありうる。そのような 具体策を提案し、それを政府に迫るのだ。国民保護を優先する。それが 最強の護憲政策なのだ。 憲法9条違反は許さないばかりを繰り返してみたり、海賊の原因は破綻国家に あるなどと評論家のような指摘をして終わってしまう。 これでは憲法9条を守ることはできない。政府、官僚の憲法9条違反を追及 することはできない。 ───────── 天木直人のメールマガジン 2009年5月12日発行 第183号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。

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