■□■□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □■□■ 【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ 天木直人のメールマガジン 2009年4月6日発行 第131号 □■────────────────────────────────── ■ 大企業の要求に従って政策が決められる現実 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 週刊文春4月9日号にノンフィクション作家佐藤正明氏の記事があった。 その記事は、今年6月に予定されるトヨタ社長の交代劇について、「世襲 礼賛報道に異議有り」というものである。 なにかと世襲批判をしている新聞各紙は、トヨタ社長の交代に限っては 「トヨタ大政奉還」、「創業家『旗頭』に結束」、「トヨタ創業家社長へ 原点回帰」などと、世襲礼賛のごとくだ。それででいいのか、と佐藤氏はいう。 その記事の内容そのものについては、私は特別の関心はない。 私が注目したのは、奥田碩(ひろし)取締役相談役の動きについて書かれた 次のくだりである。要約して引用する。 「・・・日本自動車工業会は毎年、自動車重量税と自動車取得税の減免を陳情 しているがそのつど役所の厚い壁にはね返されてきた。 そこで09年度は「低炭素車普及促進減税」と銘打ってエコカーに対する 税制軽減措置のアイデアを打ち出し、奥田は元自工会会長として津島雄二自民党 税制調査会長に直談判し、低炭素車に対する優遇税制が内需喚起につながること を訴えた・・・ 津島は奥田の説得に折れ、経済産業省との足並を揃えてくれれば、と一つ だけ条件をつけた・・・ 平成21年度の予算編成が大詰めを迎えた08年11月。奥田は二階経済 産業大臣と差しの会談をして、環境性能が優れた自動車(エコカー)を対象に、 09年度から三年間の時限措置として重量税と取得税の免税・軽減措置を 勝ち取った・・・」 一企業の取締役がここまで税制を変える事ができるのである。政府は 一企業の取締役の意向にここまで従うのである。 減税の一方では必ずどこかに増税がある。自動車関連税の減税を喜ぶ国民が いる一方で、自動車を利用しない、できない国民の負担は増える事になる。 それよりもなによりも、自動車販売促進に政府が一役買っているのだ。 佐藤氏は更にまた奥田碩トヨタ取締役相談役の次のような米国への働きかけ を紹介している。 「・・・トヨタが苦境に陥った原因は、国内市場の低迷もさることながら 米国での販売不振にある。米国市場が立ち直らない限りトヨタの再生はありえ ない・・・スクラップインセンティブ(買い替え補助金制度)がグリーン ニューディール政策に盛り込まれれば、最もその恩恵に与るのはビッグ3 である(とそう米側には説得できる)・・・ 奥田はお屠蘇気分も冷めやらぬ1月5日ニューヨークに飛んだ。オバマ 大統領に影響力がある経済人、民主党元閣僚、学者などに会い持論を説いた・・・ 米議会では上院が中心となり法案づくりの準備も始まった・・・日米が共同 戦線を張って、CO2排出量の多い車を排出量の少ない最新の車に買い替え させる政策を強力に実施すれば・・・産業の活性化と工場稼働率の向上をもたらし これが経済回復や雇用創出に大きく貢献する・・・」 佐藤氏は明らかに奥田碩氏のこのような指導力を評価し、今や日本経済 の命運を左右するほどの力を持ったトヨタの再生は日本再生の道でもある、 と持ち上げている。 私が何を言わんとしているか、賢明な読者はもう理解しているであろう。 大企業の一部の人間たちがこの国の政策を決めている。国民生活を左右している。 なす術のない一般国民の生活を最優先する政策こそ、この国の指導者がとるべき 政策ではないのか。 現実はそうでは決してない。日本の経済を左右する大企業の一部の声に配慮して 政策が決められているのだ。 政府は、その政策の説明責任を国民の皆に等しく負うべきではないのか。 ──────────────────────────────────── 天木直人のメールマガジン 2009年4月6日発行 第131号 発行者:天木直人 著者ブログ: http://www.amakiblog.com/ 読者の皆様からのメールをお待ちしております。このメールマガジンに返信して いただければ、著者まで届きます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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