… … …(記事全文2,050文字)人間も含め、動物の社会は母系と父系どちらが多いのだろうか?
ちょっと前に問いかけられたので整理してみたい。
哺乳類に限って考えるなら、どうしても母が子に授乳をするという関係から母と子の結びつきが強い。
同じ母から生まれた子らが団結し、社会は母系制になるのが自然な成り行きだろう。
前回登場したシャチの集団ではオスは集団外で子をつくるものの、一生生まれた集団に留まる。
社会はメスが産んだ子たちからなる母系制になる。
ゾウは最年長のメスが率いる母系制社会で、オスは性成熟すると集団を出て行く。
単独か数頭のグループとなって行動し、発情したメスを探しては交尾する。
ニホンザルは複数のオスと複数のメス、そして子どもたちからなる数十~100頭くらいの集団をなす。
婚姻形態は乱婚的。
オスは性成熟すると集団を出ていくので母系制社会。
ちなみになぜ乱婚的かというと、このような社会でメスが交尾する相手を限定すると、生まれた子の父親がわかってしまい、その他のオスがその子を殺してしまうからだ。
乳飲み子を殺せばメスはすぐさま発情し、子をつくるチャンスが得られるという次第。
片やチンパンジーはニホンザルを裏返したような社会。
複数のオスと複数のメス、子どもたちからなる数十~100頭くらいの集団をなし、婚姻形態は乱婚的。
メスは性成熟すると集団を出ていき、父系制社会。
一頭のオスが数頭のメスと子どもたちを従え、ハレムの主となっているような社会。
このような社会では、若い独身オスたちがハレムの主に戦いを挑み、彼を追放することでハレムを乗っ取り、世代交代がなされる。
若いオスたちは複数で挑むものの、ハレムの主となるのは最も意欲的に戦った一頭のみ。
このとき先代のリーダーオスの息子たちは父の敗走に従っており、残されるのはメスたちと娘たち、そして性別に関わりなく乳飲み子たちだ。
メスは新リーダーの妻となるし、娘たちは将来の妻候補であるから大事に扱われる。
しかし乳飲み子は乳を飲んでいる限り母親の発情と排卵を抑制するので即座に殺されるのだ。
そうしてみると、ハレム型の社会におけるリーダーオスとは、血縁のあるメスたちがその時々に代表者の座に据えている、お飾りにすぎない。
彼は夫兼用心棒であり、その社会は母系制社会なのである。

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