… … …(記事全文2,090文字)カズオ・イシグロ氏の『日の名残り』は小説が苦手の私が珍しく夢中になって読み、映画までも見た作品だ。
主人公は第二次大戦中にドイツ・ナチスとかかわりを持ったため、戦後罪に問われる貴族に仕えた執事。
彼はお屋敷を辞めて20年以上たって旅に出、かつての日々を回想する。
そうしてもう少しでいい仲になれるところだった、かつての女中頭の女性と再会する。
彼女はお屋敷をやめてすぐに結婚。
娘が一人いる。
片や彼は独身のままだ。
彼は勇気をふるい、未亡人となった彼女と、残りの人生を共にすることを提案しかけるが、彼女の眼中にあるのはもうすぐ生まれる初孫のことのみ。
彼は一人で生きることを決めたのだった。
ここでは男と女の初老以降の生き方が対照的に表わされている。
女は娘の子、つまり孫の世話に夢中になり、男はそんな妻(「日の名残り」ではかつて愛した女性)に置いてきぼりにされるのだ。

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