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まったく思いもよらないことに、テレビドラマ「白い巨塔」を一気見してしまった。
1978年から79年にかけて計31回にわたり放映されたものだが、誰かがYouTubeにアップしていたからだ。
そもそものきっかけは二週間の期間限定としてYouTubeで公開された映画版(1966年、こちらとテレビ版の双方で田宮二郎氏が主演)を見たからだ。
映画版では主人公の財前五郎が浪速大学の教授選に勝利する過程と、自身の不注意から死亡した患者の遺族に訴えられるものの、何とかかわし、一審では勝利するところまで。
テレビドラマ版ではその続きとして五郎の日本学術会議の会員選勝利の過程と裁判の控訴審での敗訴、五郎の死までが描かれる。
私が特に興味をひかれたのはまず、日本学術会議の会員選に際し、財前が教授をつとめる第一外科の医局員たちが総動員されるという場面だ。
研究、診療、アルバイトとだでさえ忙しい医局員たちが、教授の名誉獲得のため、著書や論文の手伝い程度ならまだわかるとして、票集めのために奔走し、それどころか票集めのための駒として地方の病院に赴任させられる。
似たような話を私は、日高研の前に所属した研究室で体験し、それは時代的にもドラマの放映時とほぼ同じである。
そこは「生体高分子反応学」という看板を掲げていた。
しかし実態は、教授のY氏が若いころに一山あてた、視物質、ロドプシンが光によってどう構造の変化を起こすかという研究の続きを研究室一丸となって行うというものだ。
なんで各人がそれぞれテーマを選び、研究することができないのかということも大いに疑問だが、とにかく研究には莫大な予算が必要だ。
ロドプシンの構造変化は極めて短い時間に起きるものなので、研究方法として二つのルートがある。
一つはサンプルの温度を極端に冷やし(たとえば液体窒素によってマイナス196度C)、反応速度を遅くして変化を追う方法。
もう一つはサンプルは常温だが、ピコセカンド・レーザーなど非常に短いパルスの光をあてることで短時間の変化を追う方法である。
どちらの場合にも大変お金がかかるが、特に後者は、そもそもピコセカンド・レーザーが当時売られておらず、研究室で独自に組み立てるしかなかった。
私はこの、ピコセカンド・レーザーを助手の先生と組み立てる仕事を任されていたのである(私にレーザーの専門誌知識はない)。

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