… … …(記事全文2,815文字)
今日は墓場まで持っていこうとしていて、前回に登場した順子(よりこ)さんだけには打ち明けたお話をします。
もちろん動物行動学的要素を含みます。
墓場まで持っていく、というと、実は相当悪いことをしたが見つからずにすんでいるというようなネガティブな話を想像されると思いますが、違います。
正反対の話、こんな私にこんな夢みたいな話があっていいのかという話です。
前回登場の順子さんですが、彼女には岐阜高校の同級生にKさんという、京大理学部に現役合格した人物がおり、親友とまではいかないものの、緩やかな友達くらいの関係でした。
そこで順子さんがKさんに連絡したのでしょう。
河合塾で友達になった女子が京大理学部に合格したよ、と。
Kさんは私が入学するや否や、自分が属する科学のサークル(理学部生中心。科学の歴史を学ぶとか、公害など当時世間を騒がせていた科学が関わる問題を調べたり、実際に現地を見学するなどの活動をする)への勧誘をかけてきました。
私としては順子さんの知り合いであるし、何らかのサークル活動をしたいと思っていたので即座に承諾しました。
サークルに入ってすぐに行われた新歓コンパで、Kさんは私の横に座り、「ねえ、あそこの黒いシャツの男性だけど。私、彼のことが好きなの」と、会ってまだ日が浅い私にいきなり直球を投げつけてきました。
まだ心を通わせてもいない私にこんなことを言うなんて、随分と大胆なことができる人だなあと驚いたのですが、私は世間知らずでした。
かなり後になって気づいたのは、私は彼のことが好きなのだから、あなたは彼のことを好きにならないでね、という牽制球だったのです。
彼と付き合ってもいない段階で、他の女性に対し、彼を好きになるなと言うなんて、結構性格がきつい人だなあとも思いました。
後から分かったことには、そのコンパの時点でKさんはその彼(I君)に既に1年近くアプローチしているものの、一向に進展していなかったのです。
KさんがI君に惚れるのは当然と言えます。
彼は長身痩躯、今、思えば俳優の高橋克典さんに似ているハンサム、スポーツができる、当然頭もよく、知性、教養、人格、性格、いずれにおいても言うことなし。
実家は京都で私立の中高一貫校出身で、京大理学部現役合格。
女だけでなく、男も惚れるいい男です。
一方のKさんですが、間違っても美人とは言えないレヴェル(お前が言うなという声が飛んできそう)。
別に美人でなくとも性格がよければ救われるのですが、新歓コンパで私に釘を刺したことからもわかるように、とても怖くて卑怯な性格。
頭脳はとびきりよいのですが、私のように少々とろい者、要領のよくない者、抜けているところがあるような者を、あからさまに軽蔑するのです。
筆圧が異常に強いのも彼女の性格の激しさを物語っていると思われました。
あるときサークルの会合が終わって皆で居酒屋へ繰り出そうとしたとき、I君が私にこう言いました。
「彼女のこういうところ、ほんと腹が立つ」
I君の自転車の荷台にKさんが自分のバッグを置き、I君は私のものよアピールをしていたのです。
結局、さらに1年をかけてもI君はKさんに篭絡されませんでした。
Kさんはようやく諦め、アイドル系の、とても人気のある男子学生とつきあうようになりました。
それを待っていたのでしょう、今度はY子さんという、私と同様一浪し、農学部農林生物科に入学したサークルのメンバーがI君に猛アタックを始めました。
農学部農林生物科であるのは、彼女が今西錦司氏にあこがれているからです。

購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン