… … …(記事全文2,606文字)猛暑のため、なるべく外出を控えていたところ、昔のドラマをいくつか観ることになってしまった。
たいていはあの頃はよかった、と回顧し懐かしむことになったのだが、一つだけ、違和感を抱いたドラマがあった。
YouTubeで観た、1981年のTBSドラマ「想い出づくり」だ。
職場も家庭環境も違う、23歳の女性3人がひょんなことから出会ってしまう。
お互いの身の上を思いやりつつ交流するのだが、気になったのはまず、女はクリスマスケーキと同じで24歳までは需要があるが、それ以降はほとんどないということを、本人たちが言っていること。
私といえば1981年当時は25歳で、彼女たちよりも少しだけ年上である。
しかし親世代ならともかく、私の周りでそんなことを言う人を見たことがない。
何とか20代のうちに結婚したいという者がほとんどで、実際、29歳の頃、周りで猛烈な結婚ラッシュがあった。
あんなに理想が高かったのにという人が、「いいのあの男で?」というくらいにレヴェルを下げ、そそくさと結婚していった。
もっとも、ドラマの主人公たちは全員高卒で、仕事もやりがいを見出せるようなものではないし、年齢を重ねたらそろそろやめてくれないかと言いだされかねない立場にある。
小田急ロマンスカーの客室常務員、都心の商社のOL(仕事は伝票整理とお茶くみ)、下町の工場勤務者。
確かに大卒とは条件が違うのかもしれないが、あれほどまでの焦り方をはたして当時の女たちはしていただろうか?
山田太一脚本のこのドラマの参考資料とされるのは、1977年にサイマル出版会から刊行された『ゆれる24歳』(下重暁子編著)だ。
77年当時、41歳だった下重さんがどれほど若者の本音を掬い取れただろうか。
山田太一氏とて当時47歳。
このドラマの後、「ふぞろいの林檎たち」という若者の群像ドラマで一世を風靡するが、少なくともこのドラマでは当時の女の子の、いや女の子に限らず、若い男の心情も今一つかみ取れていないような印象がある。
たとえばあの当時、会社の上司と不倫する女の子などそう珍しくなかったし、結婚に際し、相手が処女かどうかを問題にする男ともなると、皆無に等しかったと思う。
ところが、劇中ではこの2つの件を問題にする男が登場するのだ(とはいえそれは相手にNOを突きつける口実として用いているのだが)。
そんな中、非常にリアリティがあったのは、まともな仕事に就かないダメ男(柴田恭兵)に惚れる小田急ロマンスカーの客室乗務員(古出川祐子)だ。
2人がある程度知り合ったところで、いきなり女はレイプされてしまう。
コメント欄にはレイプはするし、ヒモで、ストーカーで、この男のどこがいいんだ、みたいな感想があったが、一つ指摘すると、こういうレイプは「デートレイプ」と言い、単なるレイプとは違う。
購読するとすべてのコメントが読み放題!
購読申込はこちら
購読中の方は、こちらからログイン