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5月15日付、読売新聞の「象徴天皇制 皇統の存続最優先に考えたい」と題する記事に驚愕した。
長島昭久首相補佐官はX(旧ツイッター)に「何とも面妖な紙面でした。朝日かと思い二度見してしまいました」と投稿したが、私は「共産党か!」と思ってしまった。
皇統の存続を最優先に考えると言いながら、主たる主張は
「女性宮家の創設」「女性天皇に加え、(中略)女系天皇の可能性も視野に入れる」
「旧宮家からの男系男子の養子案は、長く一般人であった旧宮家の人々に急に皇位継承権を与えることであり、人権を軽視するものだ」の3点。
後で詳しく述べるが、いずれも皇統破壊につながるか、せっかくの皇統をつなぐための案を阻止しようとするものだからだ。
特に女性天皇と女系天皇を共産党は明確に支持している。
それにしてもなぜ今このタイミングで読売はこんな記事を掲載したのだろう。
2021年に開かれた、安定的な皇位継承に関する有識者会議は以下の3事項が結論として報告された。
一 内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する(ただし配偶者と子は皇族としない)
二 皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること
三 皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすること(旧宮家の皇籍復帰)
三番目の案は二番目の養子案が成立しなかった場合の補助的な案である。
これらの案は2021年11月に国会へ提出されたものの長らく放置され、2023年5月、岸田内閣の下ようやく議論が始まった。
特に女性皇族の配偶者と子を皇族にしないという点が重要だ。
もしそれらの人々を皇族にしてしまうと子が即位する可能性があり、その場合の天皇とは女系天皇である。
女系天皇は、これまで皇統の男系男子で皇位をつないできたため、一度も現れなかった天皇で、母方の血のみが皇統につながる。
そして本人の所属はもはや皇統ではなく、配偶者の家である。
つまりそうして皇統の歴史は終わり、新しい王朝が始まる。
鈴木王朝、佐藤王朝だ。
麗澤大学国際学部教授の八木秀次氏による産経新聞5月16日付「読売に何が起きているのか。『皇統の安定』提言は『立法府の総意』をぶち壊す」によれば、女性皇族の配偶者と子は皇族にしないとする有識者会議の案を自民、公明、維新、国民民主、有志の会などが支持するなか、立民が反対してきた。
それがようやく落とし所が見え、有識者会議案の承認にこぎつけたばかりのところだったという。
読売がこの、国会での協議を振り出しに戻すかのようなタイミングで記事を出したことに極めて陰謀めいたものを感ずる。
読売の記事を細かく検討していくと、冒頭であげた3点も含め、明らかに皇統を破壊するための論理の誘導が随所に見られる。
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