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前回、ロンドン東部のオフィス街、カナリーワーフに海に不法投棄されたプラスティックゴミを集めてつくったクジラのオブジェが物議をかもしている話題を扱った。
制作者は外に見えている部分にだけ、日本語が表示されているプラスティックゴミを使用し、プラスティックゴミの海洋投棄自体を警告するためと言いつつも、「ほら、見て、日本はこんなにも多くのプラスティックゴミを海に投棄しているのですよ」と日本貶めをしたつもりだった。
しかしそれらの表記が「田老漁協」「山田魚市場」「石巻魚市場」であるなど、いずれも東日本大震災の際の大津波によって流出したものとしか考えられないことから、人為的に投棄されたゴミではないし、あの大津波によって多くの人命が失われたことを連想させるとし、大きな批判が巻き起こった。
制作者はニューヨークの建築設計事務所の代表をつとめるアメリカ人男性と、共同で代表をつとめる中国系アメリカ人女性だ。
実は世界でプラスティックゴミの海洋投棄がダントツで多いのが中国で、日本はむしろ優等生の部類に属する(世界で30位)。
つまりこのオブジェは世界一プラスティックゴミを不法に投棄している中国が、優等生の日本を貶めるために行ったプロパガンダの一環なのではあるまいか。
制作者がミスったのは、「田老漁港」や「石巻魚市場」の意味を理解することなく、オブジェに使ってしまったことだろう。
日本貶めというと、私が思いだすのは従軍慰安婦の強制連行と南京大虐殺という、ウソのプロパガンダだ。
第二次世界大戦や日中戦争(この用語はあたかも日本が中国に侵略戦争をしかけたようにとらえられるので使いたくないのだが)のさなかに行われたとされ、随分年月を経てから大問題として扱われるようになった。
しかしそのような捏造とプロパガンダは想像をはるかに超えて古くから存在していた。
たとえば日清戦争における旅順攻撃の際、日本軍がほとんどすべての住民、無防備で非武装の住人たちを残酷な殺し方をし、その数は6万人にも及ぶというデマである。
日本軍が住民を殺す、それも一人残らず、残虐に殺すというなどということはこれまでの歴史を見てもありえず、そもそも非戦闘員を攻撃することは戦争におけるルールに反する。
このような皆殺しの発想はむしろ旧約聖書などに見られるものである。
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