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皆さんよくご存じの通り、今年のノーベル化学賞に東京理科大名誉教授の硤合憲三(そあいけんそう)氏が選ばれた。
私はその業績についてさっそく勉強してみたのだが、能力不足ゆえに、理解するのに随分と時間がかかってしまった部分がある。
硤合氏が発見したSoai反応が生命の起源を解き明かす糸口になるとさかんに報道されているのだが、いったい、どこがどうつながってそう言えるのかということだ。
ここでは少なくとも私のわかる範囲のうちで説明してみることにしよう。
硤合氏(76)とパリ・サクレー大学名誉教授のアンリ・カガン氏(96)が共同受賞した理由は「非線形効果と不斉有機合成における自己触媒作用」である。
「非線形効果」がカガン氏の、「不斉有機合成における自己触媒作用」が硤合氏の功績となる。
実は2001年に野依良治氏ら3人がノーベル化学賞を受賞したときのテーマが「不斉触媒」だった。
不斉触媒とは、鏡写しの関係にある2つのタイプの分子(鏡像異性体、光学異性体)のうち、一方だけを合成するための触媒、つまり反応の助けとなる物質だが、当時、カガン氏が選に漏れたことにフランス国内で不満の声があがったという。
カガン氏は、不斉触媒のそれぞれが含まれる割合よりもはるかに大きくどちらかの異性体に偏り、合成が起きることを発見していたからだ(これが非線形効果、1986年)。
一方、硤合氏はできた生成物、それ自体が不斉触媒となってさらなる反応を進めることを見つけ、最終的には鏡像異性体の、ほぼ片方だけが存在する状態となることを突き止めた。

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