… … …(記事全文3,591文字)「運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」 後編」(橘玲・安藤寿康著・1078円・NHK出版)
親からたっぷり愛情を受けた乳児は、1歳になる頃には自立心が強く積極的になり、中学の時期には自立心旺盛に育つそうです。親からの温かい敏感なケアは子供が外の世界に出ていくための「安全基地」になるのです。
逆に母親が突き放した態度をとったり、葛藤や敵意を抱えていたりすると情緒不安定な子供に育ち、学校や友達とうまく適応できなくなる可能性があるとか。
退学、反社会的傾向、将来の収入が低い・・・すべて幼少期の親子関係が与える精神的影響が一生続く、というわけです。
周囲が平気で煙草を喫う、万引きするような環境だと「同調圧力」が働きます。つまり、朱に交われば・・・というヤツです。平気で反社会的行動をとってしまうようになるのです。
生まれ育った環境ではなく、本人の遺伝的素質が引き出されてしまう環境に出会った影響が大きい。
「氏が半分、育ちが半分」
親からの遺伝と子育てによって子供が育つのでは、という単純な話ではありません。
衝撃的なのは高い遺伝率ではなく、共有環境より「非共有環境」の影響がずっと大きいという点です。
保育園でみなで歌うと、まわりの子供たちから「すごいね」と褒められる。気をよくして歌がだんだん好きになる。みなの前で歌うことがどんどん楽しくなる。歌の練習を続けていけば能力はますます磨かれていきます。プロの歌手になるかもしれません。
これは子育ての影響ではなく、最初に遺伝的な質の違いがあって、それが保育園の先生やお友達などの「非共有環境」によって増幅された、と言えます。
さて、アインシュタインには統合失調症の子供がいました。映画『ビューティフルマインド』の主人公。ゲーム理論でノーベル経済学賞を受賞した数学者ジョン・ナッシュ本人も統合失調症でしたよね。お子さんも重度の統合失調症です。
彼らは同じものを見ても普通の人には見えないものが見えてしまう。映画でおわかりの通り、ジョン・ナッシュもずっと幻覚に苦しんでいましたよね。参考までに、いや、参考になりませ
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)