… … …(記事全文2,902文字)「愛は魂の奇蹟的行為である」(なかにし礼著・2090円・毎日新聞出版)
「私は北鎌倉に居を構え、作家久米正夫先生の息子さんと知り合いになり、その紹介で瑞仙寺に墓所を得ることができた」
そうでしたか。鎌倉に墓所を定めてホッとしている、とおっしゃってましたが、どうして鎌倉なのか、どうして瑞泉寺なのか、これでわかりました。
瑞泉寺というと、美空ひばりさんの墓所でも知られる鎌倉霊園の隣にあります。簡素で美しい佇まいの臨済宗の寺ですね。別名「花の寺」。その名の通りです。
「鈴木大拙ファンとしては願ってもない。墓と五輪塔を建て、兄から分けてもらった父と母の骨を収めた。父の場合は骨などはない。自分も将来ここに眠る」
戒名も自分でつけろ、と話のわかる住職さんだそうです。無礼院悠悠白雲居士、とつけたとか。
参考までに戒名はだれがつけてもいいんです。私でもいいんです。自分でつけてもかまいません。
そもそも戒名とは、仏弟子になる、という意味です。本来は仏陀の弟子になって名前を頂戴する。在家で死んだときに遅ればせながら頂戴する、ということです。
「無礼もまた礼に通ず」というまさしく禅的な解釈をしてもいいし、無礼そのままに受け取られてもかまわない。この世の礼を無視して、自分の価値観が決めるがままに生きてきた。絶え間なく遊ぶが如くに生きてきた。「白雲」とは何か。愛してやまないボードレールの詩『異邦人』から来ている、とのこと。
私には父も母も兄弟もいない。
友達なんて意味すらわからない。
祖国、そんなものどこにある。
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