… … …(記事全文1,997文字)「もっと悪い妻」(桐野夏生著・1760円・文藝春秋)
男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北!
夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作「もっと悪い妻」など、計6作の短編を収録。
「麻耶は大事だと思っている人が他にいるの?」
「いるよ。男でも親友になれるよ」
「それはそうだろうけれど。困ったな」
(「もっと悪い妻」より)
ネット上で〈悪妻〉と批判されることに悩むバンドのヴォーカルの妻を描いた「悪い妻」。
妻と離婚した後、若い女性にしつこく迫る壮年の男性の哀歓を伝える「武蔵野線」など、男と女のカタチを切り取った現代の「悪妻論」。
西加奈子さん(作家)推薦
不幸な「悪い妻」は許されるが、満たされた「もっと悪い妻」は断罪される。「妻」という呪いと、「妻」を理想化する社会へのしたたかなカウンター。
2018年、『ロンリネス』(光文社文庫)では章タイトルとして『賢妻愚妻』『賢母愚母』『聖母俗母』とつけた。この頃から逆説的に『悪い妻』というテーマで短篇小説を書いてみたい、と考えていた。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)