… … …(記事全文2,871文字)「家族でテキ屋をやっていました 後編」(高里杏子著・792円・彩図社)
テキ屋で扱ってる商品はたくさんあります。私が売ってたのは回り灯篭、ヨーヨー釣り、焼きとうもろこし、金魚すくい・・・。
誰もがいろんな商品を扱うわけじゃありません。商売がかぶってしまうと儲かりませんからね。そこんとこはちゃんと成立するように「統制」をとらなくちゃいけません。そのための顔役です。
「このネタで何十年食べてる」
プロですからね。著者の場合はリンゴ飴がネタのようですね。
ほかにもたくさんあります。テキ屋は隠語で呼んでます。
たとえば、「電気」=綿あめのこと。電気で作るからでしょうね。利益率がめちゃくちゃ高い。そのためか、親分ネタと言われています。
「スイネギ」=あんず飴とかリンゴ飴。ネギとは飴のこと。つまり水飴を絡めたもの。スモモとかミカンとか缶詰のチェリーとかいろんなものを水飴で包んでることが多いようです。
「ながしゃり」=しゃりは炭水化物。焼きそばのことです。
「カンスイ」=清涼飲料水のことです。「もちゃ」=おもちゃのことです。
「合わせ」=くじのこと。
「スイチカ」=水ヨーヨーのことです。「チカ」は風船。ガスを入れて空中に浮かんでいるものは上がる風船ということで「アゲチカ」と呼びます。
たんに風船に水を入れればいいわけではありません。釣らせるわけですから、軽すぎては駄目。重すぎても駄目。ちょうどいい水の量を入れる。これが腕の見せどころです。私もこれを扱ってました。
そのほか、私が扱ってたのは焼きとうもろこし。昨日お話した通りです。
飛ぶように売れていく。なんて気持ちがいいんだろう。儲かれば面白いのは当然です。
ただし、残念ながら毎日毎日お祭りがあるわけじゃありません。毎日あったらお客さんも飽きちゃうでしょう。
それに雨が降ったらお客さんは激減します。商売あがったりです。
「東北は桜が見頃だそうだ。ちょっくら行って商売してくるか」
そんな感じで商売はとてもとてもできません。「男はつらいよ」の寅さんのようにはいかないのです。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)