… … …(記事全文3,992文字)「記憶がウソをつく! 前編」(養老孟司・古館伊知郎著・1429円・扶桑社)
養老孟司と古館伊知郎が「脳」と「記憶」をテーマに語った対談本。豊富な実例と平易な語り口が人気、累計6刷2万部の売れ行き。今回は新書サイズの新装版。
「養老さんはさっき風呂を覗いたけど、入らないでただ出て行ったよ」
仲間と温泉に行った時の話。
「風呂に入った記憶がない、というのは間違っていなかった。それはそれで正しかった。そのまま病院に連れて行かれて脳のCTスキャン。診察の結果は異常なし」
そして「一過性全健忘症」と言われたそうです。
これ、中年以降に見られる症状でなぜかはわからない。記憶だけがすっぽり抜ける。けど、その間の意識はちゃんとある。長くて半日。一晩寝れば必ず治る。
「海馬の貧血によって起こるんじゃないか」と養老先生。そういう発作が起こっている最中に病院に行けばいいけど、症状が出ている時は病院には行けないから調べられません。
「同じことを何度も聞くのでまわりはちょっと変だなと思う。けど別に意識がないわけではない」
「だいたい一生に1回しか起こらないそうです。中には2回起こした人もいたが、そんなに頻繁に起こすものじゃない。大学の先生のような職業に多い」
ある人はそのうち1回は講義中に起こったけど、講義は無事に済んだ。別の大先生はシンポジウムの司会をやることになっていたが、当日発作を起こした。ある瞬間、われに返って司会を忘れていたと気づいて、慌てて会場に飛んでいった。
「さっきやったじゃないですか」と言われて、びっくり仰天。健忘中でも言葉は忘れていない。 講義もしているし、司会もきちんとやっている。
記憶喪失がモチーフになっている映画があります。
『心の旅路』という有名な映画です。角栄さんも大好きでした。私が好きなロナルド・コールマンとグリア・ガーソン主演。
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