… … …(記事全文3,724文字)「児玉誉士夫 黒幕の昭和史 後編」(大下英治著・1100円・宝島社)
昭和20年12月2日。突然、皇族の一員である梨本宮守正王をはじめ、戦中の各界指導者たち59人に「A級戦犯容疑者」としての逮捕命令がありました。
さらに6日には、近衛文麿ほか9人が同様に追加指名。
この時、児玉を驚かせたのは、12月1日付け指名の中に「児玉」自身の名前が挙げられていたことです。
A級戦犯、東条英樹ほか6人の処刑が発表されたのは、昭和23年12月24日の夜が明ける頃。日本時間クリスマスイブです。現上皇陛下のお誕生日の翌日に処刑する、とわざわざ案内してくる。この「親切行為」はいかにもヤンキーらしい。米国人はお人好しの面もありますが、エリートはなにかしらの記念日に当ててくることがよくあります。
昭和21年4月10日に行われた総選挙で、日本自由党は第一党、鳩山は新内閣リストを作っていたところに、総司令部から追放命令。
この緊急事態に、吉田茂に対して自由党総裁になってくれ、と鳩山が頼んだことはご存じの通り。
「やる気はない、ダメなものだ」とすげない回答。そこで有名な吉田が鳩山に総理を引き受ける条件を出すわけですが、後日、これがひと悶着。政治家の約束ほど軽いものはありませんか。しかも、この掌返しが「国民のため」という公利優先だというのですから便利なものです。
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