… … …(記事全文3,132文字)「遺言 絶望の日本を生き抜くために 後編」(森永卓郎・岸博幸著・1540円・宝島社)
岸さんは、報道からバラエティまで、なんにでも登場する幅の広さが持ち味で、飄々としたスタイルは普段着の評論家ぽくていいと思います。
小泉政権下で経済財政政策担当・郵政民営化担当大臣をしてた竹中平蔵さん。彼の政務秘書官=就任時の肩書は補佐官をされていました。
「組織を離れてフリーになるとマーケットの荒波に飲み込まれます。いい時はいいけど、いざ、仕事がなくなると大変」と2人とも納得。
宮仕えの辛さもあるでしょうけど、親方日の丸。親方大企業。寄らば大樹の陰、とはよく言ったもので、不況になればなるほど「喰いっばぐれ」のない仕事ほどありがたく思えるものはありません。
私のように、ランチを選ぶより気軽に転職・独立するバカもいるにはいるでしょうが、少ないでしょうね。
こんな乱暴なことができたのもひとえに家族が健康だったからこそだと思います。病気とかなんだとか大変なことを抱えていれば転職に二の足を縫むでしょうし、まして独立なんて無理でしょうね。
この2人、一人は大学に職を得た岸さん。もう一人は森永さんですが、なんと出向先であまりの薄給で食べていけない。奥さんに助けてもらったとか。子供も生まれて、上司に相談して食べていける転職先を紹介してもらったとか。
それでも、厄介な病気にはならないでいたからこそできたことですよ。
いま、薬代が毎月20万円。ほかに保険適用外の治療に100万円・・・薄給時代に襲われたら病気は病気でも「金欠病」で死んでしまいます。
さて、GDPが600兆円の国。企業の内部留保は550兆円。金融機関を除く民間企業の現預金が330兆円。一方、働く人の平均年収は460万円と米国の半分。企業は裕福、家計は貧乏。これがわが国の現実というか実態です。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)