… … …(記事全文2,503文字)「脚本力 後編」(倉本聰・碓井広義著・1034円・幻冬舎)
倉本さんにも「掛け出し」の時代があります。いきなり大先生ではありません。
「文吾捕物絵図」。67-68年にNHKで放送されました。原作は松本清張さん。
松本清張原作のテレビドラマってたくさんありますよ。たとえば、「黒革の手帖」がそうです。また、「家政婦は見た」もそうです。数えたら切りがありません。
さて、この物語はわずか数行なんですね。「江戸時代、神田○○に文吾という若い岡っ引きがいて、四人の下っぴきを使っていた」・・・それだけ。
「自分の作品を全部使ってもらって結構ですよ」とまで言ってくれた。例えば「霧の旗」とか。これ、映画で見たことがあります。たしか倍賞千恵子さんとか芦川いずみさんとかが出演してたんじゃないかなー。
「若狭宮津浜」という作品にしたとか。「霧の旗」は弁護士に復讐する話。医者に換えて復讐話は同じ。
もともとの原作が短くて、脚本でいくらでも創作できるというのは腕の見せ所がある、と思います。完璧に原作通りという芝居、映画、ドラマもありますけどね。「白夜行」「砂の器」みたいに脚本が原作を超えた、というのが見たいわけです。
そういう意味では、「座頭市」などは脚本家にとって最高の仕事ではないでしょうか。
原作は子母澤寛。1948年に雑誌「小説と読物」に連載した掌編連作『ふところ手帖』の1篇・・・『座頭市物語』が原作なんですね。以前、この『ふところ手帖』を取り上げたことがあります。
江戸時代に活躍した房総の侠客、飯岡助五郎の取材で千葉県佐原市訪問。すると、エピソード
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)