… … …(記事全文3,006文字)「伝説の編集者 坂本一亀とその時代」(田邊園子著・913円・河出書房新社)
終戦後、気鋭の戦後派作家を次々と世に送り出し、〈戦後〉という時代を作った編集者坂本一亀の類まれなる軌跡に迫る、評伝の決定版・・・です。
「坂本さんは古武士のような人ですね」と感嘆していたのは日沼倫太郎。
「ダメダ」「イヤダ」「アカン」と否定語ばかり。理由は説明しない。後になってからわかったり、けどたいていはわからないまま。
三島由紀夫の回想・・・。
きみは兵隊に行ったのかと私に訊く。行ったと答える。そうか、よかったな、うらやましいよ。ちっともよくない、と私は返す。
軍隊経験を持つ坂本と、もたなかった三島。
「皇国少年から戦後、共産主義に転じた井上光晴とは、それぞれ信じる方向は違うが、大東亜戦争中、死を決意してまっしぐらに生きていた。背を向けたり逃げたりしなかった。
三島は坂本や井上を好きであった、坂本も三島や井上を好きであった。井上はけっして三島への好意を表に出すことはなかったが、三島邸へのパーティ招待を断らずに出てきた」
「坂本は涙もろい人だった。彼が掘り出した新人作家高橋和巳が夭逝した時、どれほど泣いたか」
高橋和巳(1931-1971)は京大の中国文学者。河出書房新社第1回文藝賞受賞作『悲の器』。
高橋和巳・・・学生時代、むさぼるように夢中になって読んだのは高橋和巳と三島由紀夫。いまだに全集が実家の小屋に放り込んであります。何回読んだか。同級生にも勧め、その同級生
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)