… … …(記事全文2,698文字)「いきたくないのに出かけていく 後編」(角田光代著・726円・KADOKAWA)
「ところで、日本人だけに彼らが声をかけることをご存じ? 無視する日本人でも思わず振り返る、というノウハウ。商売熱心なインド人が思いつきそうなことです」
前回、こんなことを書きました。さて、なんだと思います?
インドは著者が訪ねたブッダガヤだけでなく、観光地ならどこにでも物乞いがいます。で、物乞いと同じくらいいるのが物売り。しつこくしつこく付きまといます。悲鳴をあげる女性は少なくありません。
ほとんどの観光客は無視します。ところが彼らは日本人をよくわかってるなーと感心します。
「何を怒ってるの?」
「インド嫌い? インド人なぜ嫌い?」
わざと悲しげに言うのです。人間性を否定されて、私、哀しいです、ショックです、という演技。こんなふうに言われると、ほとんどの日本人はつい応えてしまうのです。
「怒ってないよ」
「嫌ってないよ」
これが連中の手です。慣れてる人はあくまでも無視し続けます。無視しながらもうまいな、と感心します。引っかかる同胞がいるだろうな、と思います。で、やっぱりいるのです。
連中は日本人にだけ声を掛けます。欧米人や中国人、韓国人には絶対にしません。
なぜか? 彼らはそんなに甘くないからです。
「なぜ怒ってるの?」「なぜ嫌いなの?」と聞かれて、チクリと胸が痛む繊細さは日本人特有だ、とわかってるんです。座布団3枚ぐらいあげたくなります。
早い話が・・・客引きや自称ガイドに日本人は舐められているのです。
さて、4月にマドリッドマラソンに参加した著者。
ほぼ毎日配信!年3000冊読破の読書王・中島孝志の読む!見る!通勤快読宅配便
中島孝志(作家・コンサルタント etc)