… … …(記事全文3,515文字)「ジジイの昭和絵日記 後編」(沢野ひとし著・2255円・文藝春秋)
「1960年安保闘争が終わると、兄は憑き物が落ちたように学生運動から離れ、また山に行った」
沢野さんは休日どっぷり音楽漬け。
中野から千葉に引っ越した。テレビが西部劇を流すにつれて、カントリー&ウエスタンに釘付け。
駅前の栄町は治安が悪い通りで有名だったとか。放吟してると、キャバレーのボーイに怒鳴られ、強引に裏口の事務所に連れ込まれた。
そこには小柄ながらも上下真っ白スーツに黒ネクタイ。威圧的な50代の男がいたので、頭を下げ背中を丸めて小さくなっていた。
ソファに座ってテーブルに足を乗せた親分。
「暇ならここでバイトしろ!」
それが破格のバイト代。たった4時間も片付けの手伝いをしていると工事現場1日分相当のカネがもらえた。
仕事の内容はガラクタの片付け。どういうわけか、そこに憧れのスチールギターが1本。これがなんとフェンダー。弦は錆びているけどまさしく本物。カタログでしか見たことがない、ずっしり重い。宝物だ。
「欲しいのか」と親分。どうやら1年ほど前に。なくなって大騒ぎしていたモノらしい。どうしてここにあるのか不思議だけど、とにかく捨ててしまうくらいなら欲しい。



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