… … …(記事全文3,132文字)「戸籍の日本史 後編」(遠藤正敬著・1199円・集英社インターナショナル)
「戸籍」とは家のことです。同じ戸籍に載っているものが家族です。家族とは何か? 戸籍が家族を決めるのです。
武家では戸主の地位を「家督」と言いました。家を監督するから家督です。戸主は一家における「君主」として絶対的権力がありますが、その戸主も武家社会ではあくまでも主君の家臣にすぎません。当然、主君の権力にはかないません。
たとえば、主君の許しなく勝手に隠居して戸主の座を息子に譲ることはできません。
家督は一家の全財産を管理する権限も含みますから、誰に相続させるかは一家の重大問題です。その決定権は当然ながら戸主にあります。
基本的には嫡長男が優先されます。家督を継がない次男以下は「部屋住み」として、長男との同居は許されるものの無職で蟄居状態に置かれるだけ。口べらしで他家に養子に出されたりします。
冷酷ともいえる家族の在り方は武家社会ではしかたありません。次男以下は「スペア」ですから・・・。


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