… … …(記事全文3,891文字)「アンパンマンの遺書 後編」(やなせたかし著・1331円・岩波書店)
戦争中、同じ暗号班、同じ柳瀬という名の同郷の友が訪ねてきた。
「くず屋を手伝ってくれないか」
米軍兵舎から出るくずの中から使えそうなものを選んで製品にする。印刷も紙も日本では見ることのできない立派なものばかり。物質的豊かさ。彼我の差をとくと見せつけられた思いだったと思います。
挿絵や漫画を見ているうち、忘れかけていた何かが疼き出します。3カ月もすると、肉体労働が嫌になって、高知新聞社記者募集広告を見て受験。
なぜか合格。そして、その同僚が奥さんになります。これも不思議なご縁。
ご縁というのは求めても得られません。そして、求めなくても得られます。そういうものです。嫌でもご縁のある人には深く付き合うことになります。
ご縁は霊妙ですね。
奥さんの方が先に辞めて東京で代議士の秘書として働いた。やなせたかしは半年後に上京して、友人のデザイン会社に入ったものの何の仕事もない。貢献できる仕事がない。
ちょうど募集していた日本橋三越の宣伝部を受験。
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