… … …(記事全文3,169文字)「世界インフレの謎」(渡辺努著・990円・講談社)
なぜ世界は突如として物価高の波に飲み込まれたのか?
ウクライナの戦争はその原因ではないことは、データがはっきりと示している。
では"真犯人"は……?
元日銀マンの物価理論トップランナー、異例のヒット『物価とは何か』の著者が、問題の核心を徹底考察する緊急出版!
なぜ急にインフレがはじまったのか?
だれも予想できなかったのか?
――経済学者も中央銀行も読み間違えた!
ウクライナ戦争は原因ではない?
――データが語る「意外な事実」
米欧のインフレ対策は成功する?
――物価制御「伝家の宝刀」が無効になった!
慢性デフレの日本はどうなる?
――「2つの病」に苦しむ日本には、特別な処方箋が必要だ!
本書の「謎解き」は、世界経済が大きく動くダイナミズムを描くのみならず、日本がきわめて重大な岐路に立たされていることをも明らかにし、私たちに大きな問いかけを突きつける――前著よりさらにわかりやすくなった、第一人者による待望の最新論考!・・・とのことです。
実は、ツッコミどころ満載の本。読んだままほったらかしにしてました。奥付を確認するとちょうど2年前。そういえば、「ワンハンドレッド倶楽部」で講義聞いてますからスラスラ入ってきました、と言ってたなー。新刊を購入したんですけど、その前に代表作を取り上げとかないとね。
「リーマン・ショックから経済が立ち直っても、従来の常識に反してインフレ率はなかなか上がりません。世界はなぜかインフレが常態化してしまったのです」
その理由は・・・。
1グローバリゼーション。
2少子高齢化。
3技術革新の頭打ちと生産性の伸び停滞。
戦争や経済制裁によって、ロシアからの原油や天然ガスなどの燃料資源、世界最大級の穀倉地帯ウクからの小麦等の食料の供給が滞ってしまい、価格が高騰しました。経済全体に波及してインフレを引き起こした。
ここのどこに謎があるのか?
戦争はインフレの原因ではありません。各地の中銀エコノミストや経済学会で活躍する研究者の中では既に合意ができている理解です。専門家の見解とわが国のメディアで一般的に言われていることは、実はかなりずれています。もちろん、専門家が常に正しいわけではありません。研究者たちは、数々の見立て違いをたくさんしてきました。著者もその1人だ、と反省しています。
「ロシアのウク侵攻が物価に及ぼした影響についてもやはり間違った」
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)