… … …(記事全文2,633文字)「チャップリンの影 日本人秘書 高野虎市 後編」(大野裕之著・2090円・講談社)
さて、世界旅行。いよいよ来日することになります。
1932年4月7日、高野は神戸港にひと足早く到着。
目的は3つ・・・
①チャップリンの受け入れ体制を整えること。
②故郷の広島に錦を飾ること。
③軍国主義が台頭する中、チャップリンの身の安全を確保すること。
ご存知のように「5.15事件」にチャップリンが巻き込まれたことは周知の事実。
なにかきな臭い動きがあることはつかんでいたようです。というのも、チャップリン撮影所に見学にやってきた軍人人脈がありますから、逐一、情報が手元に入っていたからです。元陸軍将校でベストセラー小説「肉弾」で知られる作家もその1人でした。
「5月15日、首相官邸においてチャップリン歓迎会が催される」と新聞に載るや、多数の支配階級が一堂に集まる、これほどテロ攻撃としてベストのタイミングはない、とテロリストたちが考えるのは当然です。
とんで火にいる夏の虫。
「日米関係を困難にして人心の動揺を起こす。その後、革命進展を速やかにする」・・・と5.15事件の首謀者である海軍将校古賀たちが犬養毅首相らを暗殺します。
この計画を練っているなか、船旅のスケジュールがなんともあてにならない。いつ来るかわか
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)