… … …(記事全文2,941文字)「満映秘史 栄華、崩壊、中国映画草創 後編」(石井妙子・岸富美子著・1320円・KADOKAWA)
「彼は戦後を生きなくてはならなかった。たとえどんなひどい目に遭おうとも、その方がよほど勇気のある生き方。甘粕が戦犯になったら、私は逆に彼を尊敬したでしょう」
岸さんが甘粕正彦と出会ったのは、訪欧使節団の写真を見た時。
満州国政府の要人が使節団を組んで、ムソリーニのイタリアやナチスドイツを訪問する様子を映した記録映画の中に、ある中年男性がひどく気になったとか。
「坊主頭で詰襟の中国服はだれですか?」
「副団長をつとめた甘粕正彦だよ」
家に帰るなり、岸さんは母親に尋ねる。
「フィルム に甘粕正彦という人が映っていたんだけど・・・」
母親はびっくり。
「人殺しだよ。関東大震災の時、無政府主義者大杉栄と内妻さらに6歳の甥3人を虐殺した、として逮捕された憲兵大尉だよ」
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)