… … …(記事全文3,544文字)「満映秘史 栄華、崩壊、中国映画草創」(石井妙子・岸富美子著・1320円・KADOKAWA)
満映崩壊後に何が起きたか? 当事者による最初で最後の証言で現れた事実!
社史すら存在しない封印史。満洲崩壊後、いったい何が起きたのか?
最後の満映社員が遺した衝撃の「事実」の数々。
ものすごく長くなりそうな予感。人の一生、それも波乱万丈の人生を掘り起こすとなると、膨大なボリュームになります。
中華人民共和国第一作の映画スタッフは日本人だった。
甘粕正彦が君臨し、李香蘭が花開いた国策映画会社・満洲映画協会。その実態、特に満洲崩壊後の軌跡は知られていない。内田吐夢監督や元社員が詳細を話してこなかったから。
インタビュー相手は、原節子主演の日独合作映画『新しき土』に参加後、満映に入社し、敗戦後は中国映画の草創を支えた映画編集者、岸富美子さん。最後の証言者が遺した秘史の数々!
■「精簡」(精兵簡政、人員整理の意)に仲間を追いやった日本人は最後までその非を認めなかった。
■中国、北朝鮮の映画人を教育したのは元満映社員だった。
■日本映画界は東北電影製片廠(旧満映)社員だった人にアカとレッテルを貼り、復職を妨害した。
■一億五千万の中国人がみた『白毛女』の編集者は岸富美子さん。
■甘粕の自死は責任からの逃避に過ぎない。
傑作です。力作です。いい仕事をされたな、と感服しきり。こういう本と遭遇できるのが読書の醍醐味だと思います。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)