… … …(記事全文3,144文字)「夢と金 後編」(西野亮廣著・1650円・幻冬舎)
2022年4月23日、観光船が知床半島沖で沈没しました。乗客乗員合わせて26名が死亡あるいは行方不明になりました。
連日メディアが運航会社の経営者にカメラを向け、勢いそのまま、国民総出でタコ殴りの目に遭わせました。
もともと、経営的に追い込まれてた会社です。2年前に4社合同でクラウドファンディングを立ち上げて支援を募ったという経緯があったそうですね。つまり、その時点で運転資金がショートしていたわけです。
メディアは整備不良とか無理な運航が事故原因と非難しましたけど、こんなものはただのプロセスの一つにすぎません。真因は・・・なぜ整備不良のまま海に出たのか、なぜ無理な運航を続けざるを得なかったのか・・・ということです。
ひと言で言えば・・・資金難。マネーがなかったからでしょ。
このクラウドファンディングの支援総額は622万円。しかし、計算するとぜんぜん割に合わないのです。原価が高い。人件費もかかる。最初から失敗がわかっていたのだそうです。
西野さんに言わせると・・・「クラウドファンディングで初心者が手を出して失敗するパターン。それはオリジナルTシャツの制作」だそうです。
誰もいらないものを作ってどうする? 手っとり早い。だれもが思いつく。簡単にできる。けど、まったくニーズはない。こんなものにお金と時間をかけてファンディングしようとはどういうことだ・・・。
お金を集めるとはどういう要件なのか? まずそれを理解しておかないといけません。
お金はお金を上手に使ってくれる人のところに集まる、という習性があります。法則と言い換えてもいいと思います。
たとえば、高価格帯の商品を買わない人が高価格帯商品の値段にクレームを入れるという奇妙な光景に遭遇したと想像してください。ならば、もっと安くすればいいのでしょうか・・・。
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中島孝志(作家・コンサルタント etc)